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第37回

第25回新風舎出版賞、最終審査落選作品(笑)

 成人式も終わり、自分の部屋で今日の成人式の各地の様子のニュースを見ていた。どうやら各地でも暴れ回る同年代の様々な問題があったらしい。俺は複雑な思いでその映像を見ていたが、やがて成人式のニュースも終わり、次の話題に切り替わると、俺はリモコンでテレビの電源を消した。するとテレビ画面が暗くなり、その画面のガラスに反射し、自分の顔がうっすらと写し出された。その自分の顔を見て、去年も同じように、こうして自分の顔を見たと、ふとその時思った。あれから一年、俺はいい顔になっているのだろうか。俺は立ち上がり、机の引き出しに閉まっておいた、青山さんの家の前で撮った4人の写真を出し、改めて自分の顔を見た...。

 『大人ってなんだろう』去年、そんな事も考えたような気がする。

 『大人ってなんだろう』俺は再び今の20歳になった自分に自問した。

 それはこの一年間の様々な経験の中に答えがあると思う。思い返せばこの一年間で様々な人に出逢った。そしてその人達に色々なものを与えられ、学び、考え、迷い、そして自分を見つめ直し、更には自分の人生を大きく変えた。人生は何が起こるか分からないし、その日一日、一日を大事にしなければいけないというのもその内の一つだ。もしかしたら、その経験の積み重ねが、大人になる為の要素なのかもしれない。俺はそこまで考えた後、あえて明確な答えを言葉にして現そうとするのは止める事にした。自分はまだまだ成長過程にあり、その答えを出す立場の人間ではないと思うからだ。ただ一つ言える事は、人間はその人が育った環境や、どんな人と出逢ってきたかによって大分変わるという事だろう。ふと、あの事件の2人の顔が浮かんだ。いや、正確には浮かんではいない。それ所か、もう既に奴らの顔は憶えていないと言った方がいいのかもしれない。仮に街で奴らが俺の前に現れたとしても、俺は気付かないだろう。それは、それ程月日が経ったという事を暗示しているのだろう。あの当時は、奴らを見つけ出し、殺す事だけを考えていた。しかし今は復讐するというよりも、なぜ自分をやったのか、そして今はどう思っているのかを聞きたいという気持ちに変わってきている。もちろん、それは奴らを許すという事でも、時の流れがそうさせた訳では決してなく、俺のそれからの経験によっての気持ちの変化がそうさせたのだろう。そしてもしも奴らが今は更生し、あの事件を反省しているのだとしたら、はたして俺は奴らを許せる事が出来るだろうか。もちろん、直接奴らに会って話をしてみない事にはそれは分からないが。そして青山さんの言った言葉も思い出す。『あの事件で得たものもある』という言葉を。俺は大げさな話、奴らにやられたおかげで今の自分がいると思えるようになった。その為に沢山の人達に出逢えたのは事実なことであるから。少なくとも、そんな風に前向きに思えるようになったのは事実だろう。俺は、ふとそんな事を思った。

第38回へ続く...

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