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第32回

第25回新風舎出版賞、最終審査落選作品(笑)

「ハハハハハハハハ!!そういう事だったのー!?」

 奥さんの大きな笑い声が、家中に響き渡った。

「言われてみれば、『あつ』にも読めるわね」

 奥さんはあの絵を眺めながらそう言った。

「ほら、お兄ちゃんに教えてあげなさいっ」

 奥さんはその男の子を俺の前に近寄らせた。

「うん、ボク5さいだよ」

「ハハ」

 俺は小さく笑った。

「お名前は?」

 奥さんはその男の子の肩に手を乗せた。

「お名前は、ようくんだよ」

 『青山よう』、正確には『青山陽』そう、あれは『あつ』ではなく、『よう』だったのだ。あまりにも字がごちゃごちゃしていた為、『あつ』だとばかり思い込んでいた。

「さっきは結くんどうしちゃったのかと思ったわよー。あつ君、あつ君て聞いた事もない名前言うから」

「いやいや...」

 俺は照れながら青山さんの方を見ると、青山さんはソファーに座りながら、笑いながら頷いてくれていた。青山さんは、あの時包帯が巻かれていたのが嘘のように、元気になっていた。怪我の後遺症はなく、事件前と変わらぬ日々を取り戻したらしい。俺はそれが聞けて、とても安心した。


第33回へ続く...

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