第30回
第25回新風舎出版賞、最終選考落選作品(笑)
11月、木々は姿を変え、日も大分短くなってきたこの季節、俺は毎日のように自動車教習所に通っていた。仮免許も早々に取得し、路上に出ての教習も、自信さえ付いてきた。こうして毎日通っているのも、運転する事が好きなのもそうであると同時に、『免許所得』という名の目指す所があるからだろう。通えば通う程、自分に身に付いていくのがとても嬉しかった。
12月、空気の一変を肌で感じ、それに応じて人々の装いも変わるこの季節、俺は運転免許センターの試験の合否を知らせる電光掲示板の前に立っていた。こうして掲示板の前に立ち、ただ上を見上げる自分の姿に、いつかの自分を思い出させた。
合格発表を知らせる仕組みは、合格している者の番号だけが光り、落ちている者の番号は光らないという分かりやすいものであるようだった。
そしてその時間がきたのか、周りの人達が慌ただしくなってきた。
お袋が俺に自動車運転免許を勧めたのは、今なら分かるような気がする...
掲示板の数字は、1番から順に、合格している者の番号だけが光り始め、点灯している番号と、真っ暗な番号とに分かれ始めた。
あの時は、お袋が遠回しに俺に就職しろという威圧にしか思えなかった...
俺の番号は『413番』。順番に光っていくスピードは意外に早く、そのテンポが俺を焦らせた。
だけど今の俺には分かる...
そしてあっという間に光りのスピードは400番台まで一気にやってきた。
大学受験に失敗した俺に、何か目標を持たせたかったんだろうって...
400番、405番、406番と、光り始める。409、411...『413』、
確かに今、『413』という数字が電光掲示板に点灯している。
やった...やった...よし!!
俺は唇を噛み締め、右手を握りしめると、小さくガッツポーズをした。
俺の中に、何かが込み上げてくるのが分かった。それは、達成感と満足感なんだろう。その感情も、お袋が俺に持たせたかったものに違いない。そしてその気持ちを、素直に受け止められる自分がいた...。
第31回へ続く...




