第22回
第25回新風舎出版賞、最終選考落選作品(笑)
8月、夏本番のこの季節、学生達は夏休みまっただ中で、街には学生達が沢山いた。そしてこの自動車教習所も例外ではない。夏休みを利用して免許を取ろうとしているんだろう。
俺の教習簿には、いくつかの判子が押されていた。日をおうごとに、それが増えていく様が、とても心地よかった。教官には怒られる事もあるが、それはそれで素直に受け止めた。そして日をおうごとに、自分が変わっていく様も...。
青山さん夫婦に出会ってから2週間が経ち、俺は再び青山さんに会いに行く為、今度は自分一人で自転車で病院に行く事にした。家からは距離があったが、行けない距離ではないような気がした。
『いつでも来なさい』
あの日言ってくれたその言葉が、とても嬉しかった。
車の助手席から見た風景を思い出しながら、ひたすら自転車のペダルを漕いだ。
あ、確かこの信号を右に曲がって...。
信号を右に曲がると、その先の左側には、あの時給油したガソリンスタンドがあった。記憶は正しかったと更に進むと、左前方に茶色いレンガ造りの、あの病院が見えてきた。
病院に到着すると、エレベーターで3階へ行き、303号室の部屋を探した。
扉を開け、部屋に入ると、俺の姿に気付いた青山さんは、突然やって来た俺を温かく迎えてくれた。
「あ、あの、いつでも、来ました」
それは俺の精一杯の言葉だったが、青山さんは声を出して、笑って答えてくれた。
「青山さん...」
「ん?なんだい?」
「俺、変われますかね?」
そう言ってから青山さんが言葉を発するまでの時間が、とても長く感じた。
「...そう君が思った時点で...変われてるんだと思うよ」
第23回へ続く...




