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第17回

第25回新風舎出版賞、最終選考落選作品(笑)

 外は昨日と同様、いや、それ以上に暑く感じられた。俺は、その暑さを振り払うかのように自転車を飛ばし続けた。

 やがて昨日の住宅街へと入り、直ぐに『青山拓巳』という人の家を見つけると、白い柵の前に自転車を止めた。時刻は『9時55分』。少し早い気もしたが、俺はインターホンのブザーを押した。5秒位経った後、2階のベランダから昨日の女の人が顔をのぞかせた。

「あ、結くん!おはよう!どうぞ、玄関開いてるから」

 女の人は俺を確認するなり笑顔でそう言った。何か圧倒され、俺は名前をくんづけで呼ばれたのを否定する事も出来ず、家の中へと入って行った。

 家の中に入ったはいいものの、女の人はまだ2階なのか、俺は直ぐに病院に向かうものだとばかり思っていたのでどうする事も出来ず、ただ居間の辺りをブラブラしていた。そうしていると、昨日同様、壁に貼られたゴチャゴチャな絵が気になって目に止まった。

「いやー、暑い、暑い...暑かったでしょー?何か飲んでって」

 手で顔を扇ぎながら女の人は階段をゆっくり下りてきた。

 その声に反応し、俺は女の人に顔を向けた。

 女の人はキッチンに向かうと冷蔵庫を開け、麦茶らしき物が入った、注ぎ口の付いたプラスチック製の容器を取り出すと、コップにそれを注いだ。

「適当に座っててくれてよかったのに」

 女の人は居間のテーブルにそのコップを置いた。

「あ、やっぱりその絵気になる?うちの子、天才じゃないかって思うのよね。ほら、ここのタッチなんていい感じじゃない?」

「....」

「って親バカかもね」

 そう言って女の人は微笑んだ。

「あの、出掛けませんか...」

「あ、そーね。主婦もね、結構大変なのよー...結くんのお母さんもそういう風に言わなーい...」

「だから、俺の名前は...」

 俺がそう言う前に、女の人は階段を上がって行ってしまった。そしてその一分後、再び階段を下りてくるとこう言った。

「はい。お洗濯終わり!行きましょうか?」

「...はい」

 こういう人の事をマイペースと言うのだろうか。でも、自分でもよく分からないが、俺はその女の人に嫌な感じを抱かなかった。

第18回へ続く...

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