第一章④ 刺殺公爵 改訂済
そんなこんなで町で暮らし始めて1ヶ月が経った
刺殺公爵に開けられた手足の穴も砕け散った顎も傷跡も残らずすっかり治った
(ウーパールーパーの遺伝子に感謝だ)
店の方も見違えるくらいにキレイなった
発明品が良く見えるように陳列出来た
あまりにも汚すぎてこっちの方が時間がかかった…
片付けの隙間時間で刺殺公爵殺しの作戦を練っているが、こっちはさっぱり…
どうしたらいいもんか…
発明家のジイサン「お~い!マンダぁ!酒屋のバアサンに配達だぁ!」
マンダ「うっへぇ…これまたデケェ発明品だな」
そこには人が寝そべって入れそうなカプセル型の機械があった
「おう!全自動頭の先から爪先まですっぽりマッサージ機だ」
「なんか…機械が力加減間違えたら全身の骨がボキボキに折れちまいそうだな…」
マッサージ機をどうにか台車に積み込んだ…
「はぁはぁ…重てぇ…」
配達に台車がミシミシギシギシと音を立てている
俺の体力よりも台車の方が先に限界が来そうだなこりゃ…
汗だくになりながら台車を引いてると、町の噴水広場で子供達がチャンバラごっこをしてる…
俺もあんな感じでまともに刺殺公爵と戦える段階までこぎ着けられないもんか…
いやまともに向き合っちゃ到底敵わないだろうな
ちょっと一回情報整理してみるか
・刺殺公爵はとんでもなく強い
・そして名前の通り相手を刺し殺す
・身体が異様に細い
・身長2mほど
・嗜虐的な性格であっさり殺すのはあまりない
マリハジ村でも50人に対して30分も掛けて楽しみながら刺し殺していた…
あんなに強ければものの数分でみんなを殺しきるはず…
俺の事だってわざと見逃すくらいだからな
自分は公爵だから死なない!傷つかない!って余裕綽々で舐めきってるんだろうな
たしか刺殺公爵は「成長が楽しみだ」とか「美味しくなりそう」とか言ってたはず…
あれはきっと俺のヒューマナタイトの事だろうな
そもそも美味しくなるもんなのか?
いったいヒューマナタイトってのはなんなんだ?
そんな風に頭の中で考えてたら、台車の重さも忘れていつの間にか酒屋の前に来てた
マンダ「バアサ~ン!持ってきたぜ~!」
酒屋のバアサン「やっと来たかい、暖炉の前に置いといておくれよ」
なんだこの重さ…
一人じゃ運ぶもんじゃないな…
このマッサージ機はデカ過ぎる…
ジイサンめこんな重たいもん運ばせやがって…
ボーナス要求してやる……
「ゼェゼェ…バアサン…運び終わったぜ…」
「ほぉほぉ、ご苦労さんこれでも飲みな!」
「おいバアサン俺はまだ未成年だぞ」
「それは間違って仕入れたただのジュースさ、酒屋にジュース置いてても売れやしないんだよ!持っていってくれ」
「なんだじゃあありがたく貰っていくぜ!まいどありー」
あんまりにも疲れちまったな…
噴水広場でちょっとサボるか
ジュースもあるし30分くらい休んでもバレないだろ
噴水広場ではさっきの子供達がまだチャンバラごっこをしている
赤い服の子供の枝が白い服の子供の頭にクリーンヒットした…
あれは痛そうだ…
白い服の子供の顔はみるみる泣き顔になって大声で泣き出しちゃったな
慌てた赤い服の子供はあわあわしながら近づいてい……あっ!
その瞬間白い服の子供がピタッと泣き止んだと思ったら、赤い服の子供の頭に
スパーン!と一撃不意打ちを食らわせた
なんと策士な子供なんだと感心したもんだ。
きっと不意打ちでいかないと刺殺公爵に傷すらつけられないだろうな
俺があの時の美味しそうな人類だって事を伝える前口上でも言わないと、目が合った瞬間に死んじまうな。
それにまともに戦っても駄目だ!何か油断でもさせないと
美味しそうって言われたってのも、なんか分からないからちょっとジイサンに聞いてみるか
まだまだこの世界の事も公爵達の事ももっと知らないと。
さぁて、そろそろ帰んないとジイサンにどやされそうだ。
ちなみに俺はジイサンの店の2階に住み込んでいる
ジイサンの家は別の場所だから一緒に住んじゃいない
初めての一人暮らしだ!
ちょっとワクワクしてる自分がいる!
暇になる夜は1階にあるジイサンの発明品を弄って遊んでいる、やっぱりこの店はロマンまみれだ!
この中に刺殺公爵を殺せるヒントも転がっているかもしれないしな!
マンダ「ジイサンただいま!」
発明家のジイサン「おうマンダ新しい発明品が出来たぞ!その名も細芯ガス式パイルバンカーじゃ!!」
「これの特徴は芯である杭に返しが付いてるんじゃ!しかも2個もな!返しと逆向きの返しが付いていて細い杭を撃ち込むんじゃ」
「相手に撃ち込んだら返しで抜けないし逆向きの返しで強いノックバックを起こして相手を壁に貼り付けられるんじゃよ!」
「まぁ口で言っても伝わんねぇよな!パイルバンカーにでかいマガジンが付いたって思っとけ!」
「早口だし、こうやって見てもあんまりわかんねぇよ」
「しかも杭は細く作ってあるから何発も携行出来る!マガジンに10発も詰め込んだ、両腕に装備出来るから合わせて20発の杭をぶちこめるんじゃ!つまりスゲェって事じゃよ!」
「なんとなく分かったような分かんないような…取り敢えず相手を昆虫標本みたいに打ち付けて動けなくさせるみたいな感じって事は分かった」
「それだけ分かりゃ十分じゃ!これは小僧が刺殺公爵に穴だらけにされたので閃いた傑作じゃ!」
このジイサン…
人が死にかけたエピソードで発明品を閃くとかマジかよ…
結構イっちゃってるな…
マンダ「このほっそい杭のパイルバンカーが対刺殺公爵兵器ってわけか?」
発明家のジイサン「いんや、こんなん身に付けたって杭を当てる前に刺殺公爵に穴だらけにされて死ぬだけじゃ」
「じゃあ何で作ったんだよ!あんなにテンション高く説明してきやがったのに」
「この発明品の肝は後ろに背負うガスボンベを入れてる箱にあるんじゃよ!」
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かくかくしかじか
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マンダ「へぇ!そりゃ良いな!俺にしか扱えない様な隠し球だ!けどそれをしたからって刺殺公爵は倒せそうに無い気がするけどな」
発明家のジイサン「それは案外心配せんでも良いかも知れんぞ、刺殺公爵の身体は見たんじゃろ?」
「あの異様に細い身体を、刺殺公爵はその細さを活かした速さで無傷で圧倒的に相手をいたぶってたはずじゃ」
「つまり打たれ弱いって?あの刺殺公爵がぁ?力もとんでもなく強いんだぜ?細くてもめちゃめちゃ硬いかも知れないぜ?」
「まぁ……うん……そん時は死ぬだけじゃ」
「まぁ死ぬだけか……いや死にたくねぇけど、でも1ヶ月掛けてもろくな作戦が出なかったからなぁ…」
「これが駄目って言っても別の案があるわけじゃないし、もし駄目だったらもっと美味しくなるから待てって言って命乞いでもしてみるさ!」
「ところで刺殺公爵が言ってきた美味しそうってどういう意味だと思う?」
「それはヒューマナタイトの保有量の事じゃろ、強くて健康でエネルギッシュな人類ほど保有量が多くて公爵どもには美味でご馳走になるんじゃと」
「つまり死に際でも啖呵切った俺がエネルギッシュで美味しくなりそうだったから見逃したってことかぁ?じゃあ今度刺殺公爵に殺されそうになっても威勢良く啖呵切り続けてみっかぁ」
これ以上手をこまねいても時間だけが過ぎていくだけだし復讐の熱意も熱いうちに刺殺公爵に挑みに行くかぁ…
全部が上手くいきゃ殺せるかもしんねぇしな…
マンダ「じゃあいっちょこのパイルバンカー背負って刺殺公爵を刺し違えてでも殺してくるか!」
発明家のジイサン「ガッハッハッ刺殺公爵相手に刺し違えるなんて洒落の効いた覚悟じゃな!」
2026/1/24 改訂しました




