ケンカするなら没収するよ!
ちびっ子双子のミルフィスとザーランドは喧嘩ばかりしておりました。
「オレのだ!」
「俺が先に見付けたんだ!」
オモチャ一つで喧嘩が始まり、食べ物一つで毎日喧嘩ばかり。母親のクラウディアはとても手を焼いておりました。
「ケンカするなら没収するよ!!」
「はぁい」
「はい……」
そしていつもクラウディアに怒られてしょげる二人。父のギャグナシーは仕事で忙しく、家を空ける日が殆どだったので、クラウディアは大忙しでした。
二人は15になると、剣術学校へ進級しました。素養に恵まれていた二人はすぐに頭角を現し、学校でも一二を争う実力者へと育ちました。
「弟よ、次の大会で優勝した方がエレノアからキスを頂くというのはどうだろうか?」
「兄上!! 本人に断りも無く賭け事にしかも口づけ等を持ち出すとは何事か! 失礼であろう!!」
「ははぁん……さては負けて俺とエレノアがそういう仲になるのが恐ろしいのであろう?」
「なっ! 兄上に負ける気など微塵もありはせぬ!!」
「なら良かろう? お前が勝って辞退すれば良いのだから」
「言ったな兄上!!」
剣術学校でも二人は喧嘩ばかりでした。
しかも教員を凌ぐほどの腕前を持ってしまった為、先生達も二人を止める事が出来ません。
「ケンカするなら没収するよ!!」
大会は飛び入り参加のクラウディアが優勝をさらいました。
「母上……」
「母さん……」
クラウディアはエレノアの肩を抱き、二人に剣を向けました。
「ハナ垂れ二人に剣を教えたのは一体誰だと思ってるんだい?」
「お義母様……♡」
元海賊のクラウディアはあっという間にエレノアを虜にし、白馬で去ってしまいました。