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悲しいけど、ここで筆が折れた。何時しか形に出来ればいいなと思った。そう思えた作品でした。こういう風に綺麗事言っとけば纏まった雰囲気出るよね。実際は死ぬ程、とっちらかってるけど……

「で、結局。連れてきちゃったんですか?」

「はい、ごめんなさい有栖ちゃん……」


 そう言って、申し訳なさそうに身体を縮み混ませた楓さんの後ろには、一人の男が立っていた。


 静観な顔立ちをしている。

 さぞかし本部ではチヤホヤされるだろう。ただ、彼本人はあんまりチヤホヤされたいと言うタイプでは無さそうな気がする。


「あと、有栖ちゃん。これぬいぐるみ……」

「……あ、ありがとうごさいます」


 前回、斎藤さんに修復を頼んだ猫のぬいぐるみだ。

 私はそれを受け取ると、その出来栄えを眺めた。


「うん、うん」


 綺麗に治ってる。

 流石、斎藤さん。良い腕をしてる。


「……これで、チョコちゃん元通り」


 私は満足だと、猫のぬいぐるみを抱っこする。


「斎藤さんに、ありがとうって、言っておいて」

「は、はいぃ……」


 明らかに、楓さんのテンションが低い。

 まあ、色々と厄介な事が立て続けに起こって。しかも、私の所にそれを連れてきてしまったことを申し訳なく思ってるのだろう。


 他の魔女なら、自分のことしか考えないけど。楓さんは人の事を考えてくれるイイ人だからな。


 正直、面倒の極みだけど。彼女の美徳でもあるからな。あまり、無下にもしたくないな。


「……楓さん」

「は、はぃ…… なんでしょあか、有栖さん……」


 やはり、完全に萎えてる。

 まあ、こう言うときは……


「楓さんも、いつも無理に付き合ってくれてありがとね!」

「は!! あ、有栖ちゃん!! 怒ってない?」

「大丈夫、怒ってないよ!!」


 本当はちょっぴり怒ってるけど、許す。

 テンションが終わってる、楓さんを見てる方が辛いから。


 




 


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