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主人公は気難しくて組織からはみ出た存在。って感じの設定が最初は出るけど。組織事態が狂ってるから、優しくて真面目な主人公がはみ出しものになっちゃったって言う流れになる予定だった。

「有栖たん!! なんですか、このぬいぐるま!!」

「……この『瓦礫の森』を探索していて見つけたんです。他の物は好きに待ってってくれていいですけど、そのぬいぐるみは修復して、返して欲しいんです」


 辺りには私が見つけてきた、科学文明の遺物達が並んでいる。

 フライパンに鍋。ヤカンに包丁。おおよそは錆びているが磨けば使えるだろう。流石に研磨技術までは消失はしていない。


「珍しいですね、有栖たんが遺物にこだわるの。しかも、ぬいぐるみなんて。これぐらいなら、今でも作れるでしょ?」


 そうは言うものの、彼女はそのぬいぐるみを大切そうに抱いてくれている。

 私の態度から何か思い入れが有ると察してくれているのだろう。その察しの良さは有りがたいのだが、余り細かいことまで話す気にはなれない。


「まあ、言いたくないならいいですよ。それに有栖たんの頼みなら聞きますよ。誰に頼むかリクエストありますか?」

「……安藤さんにお願いします」


 私がそう口にすると紅葉さんは苦虫を潰した様な顔を浮かべた。


「あの陰気臭い安藤ですか?」

「……はい。腕が良いんで」


 私の答えに何か言いたげ顔を浮かべるが、紅葉さんは二度ほど頷くとそれを飲み込んでみせた。


「はい、わかりました。有栖ちゃんの言う通りにします!! その代わり、ハグさせてください!!」

「……駄目。私、もう7日も身体洗ってない」


 もう、マジでダメ。そろそろ限界。髪もバリバリだし。変な色に光ってる。身体中かゆい。くさい。


「大丈夫!! 有栖ちゃんなら、ギリイケる!!」

「……イかないで下さい。せめて、何か拭くものを」


「ならば!! 私が拭いてあげるで!!」


 ああ、これめんどくさいやつだ。


 まあ、いいか。

 背中とか、一人じゃ拭けないし。


「ぐへへへ、綺麗な身体じゃねぇか……」


 私が服を脱ぐと紅葉さんがそんなことを呟いた。馬鹿馬鹿しい。私の身体は見たところで楽しくとも何ともなかろうに。


「……はい、はやく、済ませて下さい」


 私はそう言うと、背中を見せた。


「はいはい。私が隅々までキレイキレイしてあげますからね」

「前は自分でできます」


 とは言うものの、髪の毛だの色々と入念にやってもらうとなると、そこそこ時間がかかる。

 かといって、黙っていると流石に無口な私でも身体を洗って貰っている手前、なんだか申し訳なくなってくる。


「……さ、最近どうですか?」

「うん? 何が?」


 何が? 何がって言われると、何がだろう?


「……えっと、本部の様子とか」

「あ!! そうだ、忘れてました!! 本部は今、無茶苦茶なんですよ!!」


 本部が無茶苦茶? どういう事だろう? 魔物に襲われたのか? それとも、内紛でも起きたのか? それなら会った時に開口一番に話すべきだろう?


「実は魔力持ちの男が現れたんですよ!! それで本部は滅茶苦茶!!」

「……なんだ、そんなことですか。別に前例は

いくつもあるじゃないですか」


 今の時代、魔力を持って産まれるのは殆どが女性だ。原因はなんでかわからないが。何かを溜め込んだりする能力が女性の方が優れているらしい。


 と言っても、女性の『魔力持ち』が産まれること事態が普通に珍しい。

 それに輪を掛けて男性の『魔力持ち』が産まれるのは珍しい。

 ただ、珍しいだけで有り得ない話ではない。


 十年に一人ぐらいは産まれる。


「それが一度に五人!! しかも、全員が騎士を目指してるそうです!!」

「……え!? そ、それは本当ですか?」


 これには流石の私も耳を疑った。

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