☆言葉が通じないって展開としてはマジで詰みだと思う。これで物語を作ろうと思ってた自分が度しがたいと思う。この人は何を考えているのでしょうか?
「くぁwせdrftgyふじこlp…… くぁwせdrftgyふじこlp~」
え? なに言ってるかわからんのやけど。日本語でオケ? え? て言うか、もしかして。言葉が通じない?
「くぁwせdrf」
日本語でオケ所の話しじゃない。全然日本語じゃない。やばい、言葉がわからない。普通に詰んだんだけど。
どうしよう、もしかして怒ってたりするかな、しないよね?
ちょっと顔を出して恐る恐る様子を見てみる。
「ふじこlpくぁwせdrftgyく」
男はコチラを見ながら、先程まで傷があった所を手で擦っている。見た感じ怒ってはいないっぽい。
多分「この傷を治してくれたのは君か!? ありがとう!! 100万円あげる!!」とか言ってるんだろうけど。「ふじこ」しか聞き取れん。どうしよう……
「くぁwせdrftgyふじこlp」
ひん、わからない。
お願いだから、日本語を話してクレメンス。
見ると、男は立ち上がってこちらを見ている。持っていた猟銃は背中に背負い、穏やかな表情でこちらを見ている。
そして、手でこちらに招くような仕草をしている。
あれは「こっちへおいで」と言う意味だろうが、やはり言葉がわからないのでチンプンカンプンだ。
男は俺の様子を見ると、不思議そうな表情を浮かべ歩き出した。取り敢えず、俺は木の影に隠れながら、恐る恐る着いて行ってみる事にした。100万円貰えるかもしれないし。
やはりと言うか、なんと言うか男はかなり不思議そうな顔をしている。まあ、仕方ない。我ながら奇っ怪な行動をしていることは間違いない。
暫く、彼の生暖かい眼差しを受けながら森の中を歩いていると、森の切れ間と同時に村が視界に現れた。
十件程だろうか、民家がポツポツと建っている。畑や乳牛も見られる。あ! 羊と山羊もいる! いや、これは関係ないか。
まあ、なので、ある程度の文明はあるのだろう。冷静に考えると猟銃もあったし、ナーロッパぐらいの文化はあるのだろう。
そんな感じで村を見ていると、不意に男の周りに人が集まっているのに気がついた。チラチラとコチラに視線を向けている雰囲気的に俺のことを説明しているのだろう。
どうにかいい感じで説明してくれ。俺は言葉がわからんし、喋れんのじゃ。
男は時折、森の方を指を指したり、自分の傷を見せた後に俺の方を指差したりしている。
うん、多分いい感じに説明してくれてると思う。
すると、男は俺を見ると「こっちにおいで」と言った感じで手招きしてくれた。
よ、よし……
い、行くか……
俺は意を決して木の陰から出て、彼らの元へと向かった。




