☆まあ、でもボツであることにはかわらない。いくつく先がありきたりでつまらなきものである。そんな風に思えてならなかった。そんな時代だった。
「んが!? ゆ、夢!? ん、んん!?」
夢の世界から目覚めすること五秒。直ぐにあらゆることを確信した。
目の前に広がるのは森。大きく天まで伸びる巨木。お尻に感じる名も知らぬ草達の感触。木々の間からこちらに注がれる木漏れ日。
そして、鼻孔をくすぐるような土や草の香り。
「ゆ、夢じゃ無いのかも……」
そ、そうだ。実は最初に疑問に思ってたんだ。
「ん、ん! あーあー! やっぱり、なんか声が高い。それに……」
俺は自分の手に視線を落とした。
そこにある自分の指は細くしなやかな物になっていて。爪も綺麗だ、まるで女の子のような指をしている。手首も細く腕も細い。
これはまさか、と言う予感が頭を過る。
だが、確める術がない。鏡でもあれば別だが、こんな所で鏡がポン! と出てくるわけ無いし。
その瞬間、目の前からポン!! と姿鏡が現れた。
「なにそれ、便利過ぎない……」
と思いながらも鏡を覗き込むと、そこには驚愕の光景が映っていた。
なんと、そこには少しの違いがある様には見えるが、先程まで話していた女神が映っていたのだ。
何故だか、女神より幼く少女と言った感じだ。そして、髪の毛は白銀色をしていてとても綺麗だ。翼はまだ無い。
こ、これはッ……
「つ、2Pカラーだッ!! あの女神、手を抜きやがった!! て言うか、もはや性別が変わってる!! もう目茶苦茶だ!! て、て言うかッ!!」
裸じゃねぇぇかぁぁぁぁぁ!!
鏡には成長仮定にあるであろう、少女の膨らみかけの肉体があられもない姿で立っている。これは破廉恥! 破廉恥が過ぎるぞ!! ふ、服ぐらい寄越しやがれぇぇぇぇ!!
その瞬間、ポン! と服が現れた。
「お、おぉ! べ、便利ぃ! て言うか、着せてから転生させてくれれば、よかったのに……」
俺は大人しく、文字通り天からの贈り物に袖を通す。
可愛らしいワンピースだ。しかも、純白のワンピース。これって冷静に考えるとかなりイタいよね。普通の女性からすると、着るの結構ハードル高いよね。
とは言って見ながら鏡を見る。
「に、似合っている…… 美しい、これは10年に、いや! 100年に一人の逸材……」
純白のワンピース。しかし、その白さに負けず劣らない白銀の綺麗で細い髪に白い肌。そして、くりくりとして大きく紅い瞳。まるでルビーをはめ込んだようだ。
まるで、お人形さんだ……
なんだかドキドキしてきたな……
取り敢えず、クルクルと回ってみる。可愛い。
腰をくねらせてセクシーポーズ。うん、可愛い。
鏡に向かってにっこり。やっぱり、笑顔が一番。
「ハッ!!」
その時、驚愕の事態に気づいた。
へ、へ、ヘルニアが治ってる。治ってるって、言うか無い! 腰の違和感が無い!! 変に張ってもない!! 違和感もない!!
そう言えば臭くもない!! むしろ、いい香りがする!! もう死んだマグロの臭いを嗅がなくてすむ!!
やった!! 素晴らしい!!
流石は異世界転生!!
やったー! やったー!
思わず跳び跳ねてしまう。そして、その際に再び驚愕の事態に気づく。
お、お股がスースーする。
「パ、パンツ履いてなかった……」