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ボツ原稿。ボツ原稿って言っても書いてる時は本気だから消すのは消すで惜しみ無いよね。もう最高だよ、そんな感じ。読めたもんじゃないけど、題字だけでも見て鼻で笑ってやってください。  作者: パンツ男爵F
男の娘に転生。転生特典の治癒の奇跡で聖女と呼ばれて勝手に王子と婚約されるけど、男だとバレたら偽物だと婚約破棄。国を追放されたけど実は本物の聖女って、これもうわかんねぇな
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こう言うパワハラ描写は胸が踊る。後の肥やしとなるのが書いててわかるから、くせえぇ!!くせえぇぞ!!くさけりゃくさいほど良い!!と思いながら書くべし!!書くべし!!

「この能無しが、まんまと小娘に逃げられ追って!!」

 

 そう怒号を挙げたのは肌に黄疸の出た体調の悪そうな老人だった。老人の瞳は黄色く濁り、その口からは僅かに死臭が漂っている。

 老人は赤のサーコートに手足を覆う鎧と、厳格そうな男と同じ格好をしており、恐らく同業者と思われる。


 老人は不意に拳を振り上げ男に向かって振り下ろした。

 

 男は老人の振り上げた拳を何の抵抗も無く、その厳格そうな顔で受け止めてみせた。


 男の鍛え抜かれた肉体故か、それとも老人の貧弱さ故か。男は老人の拳を身一つ動かさずに受け止めた。

 その様に更に腹が立ったのか、老人は足を振り上げ、男の足を蹴飛ばしたてみせた。


 その蹴りも男は身一つ動かさずに受け止めた。


「チッ! この若造が! 次にこの様な失態を犯してみろ。いくら、大貴族の息子とは言え、どうなるかわからぬぞ!」

「私は大貴族の息子とは言え、三男です。如何様にも処罰してください。我が家も文句は言いますまい……」


 その答えが勘に触ったのか、老人は腰に下げていた剣を勢い良く引き抜き、その腹で思い切り男の頭を殴打した。

 男は流石に顔を僅かにしかめて見せたが、直ぐに元の厳格そうな顔へと戻り、老人を見下ろした。


「チッ!」


 流石にそれ以上に暴力がエスカレートすることはなく、老人も渋々と言った様子で剣を鞘へと戻し、男に背を向けた。


「今後はこの様な事が無い様にと精進するのだぞ……」

「はい。御忠告、痛み入ります」


 そうは言いながらも、男は「この暴力中毒のサディストめ」と心の中で悪態を突いた。

 男は直ぐに老人のいた部屋を後にし、一度溜め息を吐くと、剣の鍛練でもしようと修練場に向けて歩き出した。


 ここはメティアナ教の総本山。ネイ・グ・ロウ協会。


 巨大な城と大きな城下町が広がる、広大な宗教都市だ。名目上は宗教都市となっているが、その実態は大きな力を有する自治国家として大陸に君臨している。


 そして、この男の名はハウンズ・バスカヴィル。


 彼は、メティアナ教に所属する神殿騎士だ。ネイ・グ・ロウ協会を守護し、異端者を捕らえる事を職務とする戦闘組織の一員だ。事実上のネイ・グ・ロウ協会の国軍とも言える。


 今回、彼はシャルロットを異端者として捕らえ。あの老人の元へと連れてくる為に現れたのだ。

 しかし、結果は読んで字の如く、飛んでいって逃げられてしまったのだ。


 元々、「ひと治し、500タスク」と、名を売って活動していると聞いてメティアナ教は動いたのだ。

 こう言った形での金銭の授与が起こり得る場合は、それ相応の手続きが必要になってくる。それが魔術による開業であれ、霊薬による開業であれ、手続きは必要になってくる。

 何故、そこでメティアナ教が出張ってくるのかは謎だが、豊穣の女神であるメティアナが授けた知識を使用するならば、一言教団に話を通しておくのが筋であろうと言う見解なのだろう。

 そこに何か他意が有ることは明白だが、そう言う社会形態になっているので仕方がない。


 それを破れば、異端者として裁かれると言う運びになる。


 今回はシャルロットが異端者として裁かれる手筈だったが、まんまと逃げられてしまった形になる。

 元々、正規の手続きをしていないのだから、裁かれるのは当然と言うのがハウンズの見解だが、シャルロットの件となると話は少し変わっていた。


 港町の住人に話を聞いてみれば、「ひと治し、500タスク」と銘打っていたが、金銭のやり取りは全く無かったとの話だった。代わりに、生活必需品のやり取りは有ったらしいが、それなら問題は無いと判断出来る。

 

 今回の件で言えば、シャルロットは証拠不十分と言った所だろう。ハウンズはと言うと、その話を聞いて酷く安堵した。


 今回の件でシャルロットが異端審問を受けることとなれば、あの老人に有ること、無いことは突つかれ、どうなっていたかはわからない。

 あのサディストの事だ、最悪どうなっていたか想像もしたくもない。


 そして、何より腹立たしかったのは、そんな事もわかっていながらも。金銭のやり取り無く、そんな行動をする人間は居ないと勝手に決めつけ、始めから少女を異端者として見ていた自分自身だ。


 不意にハウンズは先程老人に殴られた箇所に手を当てた。


「こんな痛み、屁でもない……」

 

 ハウンズは自分自身への怒りを吐き出すかな様に口を開いた。


 そんな彼を他所に背後から何者かがハウンズに向かって駆け寄って来た。その人物の背格好はハウンズと変わらないが、何処と無く幼さの残る顔をした青年だ。

 ハウンズは青年が語りかけてくる前にやれやれ、と言った雰囲気で口を開いた。


「アイン、足音が五月蝿いぞ。そんなに俺がミスをしたのが嬉しいか?」


 そう皮肉めいた表情でハウンズが口を開くと、アインと呼ばれた青年は大きく首を横に振り、否定の態度を身体全体で表現して見せた。


「止めて下さいよ先輩! 先輩ですら駄目だったなら、騎士団の誰にも出来ませんよ! 先輩は悪くありませんって。それに結局、彼女は金銭の授受も無かったんですし、審問が必要な事案では無かったじゃないですか!」

「そうだが、ミスには変わらない……」


 ハウンズの素っ気ない答えに、アインが不満そうな表情を浮かべた。その表情を見たハウンズは呆れながら笑って見せた。


「そんな顔をするな。俺だって、ミスはするし。落ち込んでもいない」

「だけど、絶対おかしいですって。あのジジイは最近は輪を掛けて様子がおかしいし。上層部も以上に……」


 アインがそう何かを口にしようとした瞬間、ハウンズがその口を手の平で押さえつけた。

 そして、ハウンズ静かに首を横に振ってみせた。


「それ以上は言うべきじゃない、いいな?」


 そう言うと、ハウンズはアインをその目で睨み付けてみせた。そして、その瞳に答えるようにアインは首を縦に振った。

 それを見たハウンズは一度だけ小さく頷くと、アインからゆっくり手を離し、アインに向かって語り掛けた。 


「少なくとも、今はお前の胸の奥に秘めておくんだ。わかったな?」


 そう言うとハウンズは踵を返し、修練場へと向かってゆっくりと歩き出した。


 そんな、シリアスな雰囲気で流れる最中。シャルロットはと言うと森の中でオスローや鹿さん達とお昼寝していたのだった。


 雰囲気台無しなのであった。

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