転生王子7
俺は今日、四人の人を殺した……
そして、彼等四人を弔った……
近くにあった大木のふもとに穴を掘り四人を埋めた。
彼等は悪人だし、死ぬ覚悟も有ったとは思う。だけど、既に亡くなったならば彼等は一人の人として扱うべきだろう。弔って然るべきなのだろう……
こんなことしたって、ただの都合の良い偽善だろうけど。しないよりはする方が良いに決まってる。それに、もし俺がこうなった時はそうして貰いたい。苦しむよりさっさと止めを刺して貰いたいし、最低限の弔いはして欲しい。
祈りにも似た感情が胸の内に宿るのがわかる。
恐らく、こうやって人は死の恐怖を柔らげたのだろう。
宗教の大切さなんて結局死ぬ寸前まで…… いや、結局死ぬまで気づかなかったけど、その大切さを死んでから知ったよ。
いや、まだ俺は死んでないのかな。
それにもう、これが夢なのか現実なのか区別が付かなくなってきてしまった。
本当にこれが夢ならば、どれ程良かったか。
命の大切さを知り、あの平和な世界に戻れたらどれ程良かったか……
今でも、これが夢であることは祈る自分がいる。
だけど、これが夢であろうとなかろうと、自分のやったことに目を背けずに生きていくことはきっと重要なのだろう。
恐らく、そう言った誠実な生き様が報われる時が来ると信じる力に変わり、明日を生きる力と希望に変わるのだろう……
俺は本当に知らないことばかりだったんだな……
こんな俺が出来ることなんて限られているだろうが、出来うる限りのことはしよう。
まだ、俺はこの世界の事を何も知らないんだ……
きっと、俺に出来るようなことがあるのかもしれない……
それに、この世界を救う為の闘いは今から始まるかもしれないのだから……




