スケールをデカくし過ぎて畳める予感がしない。これどうすんだよ!どうすればいいんだよ!嫌だ!!死にたくない!!まだ、描きたい!!
「ひと治し、500タスク」と、書かれた手作り感満載の看板を肩に担いだ少女が一人のベール・ウェルの港町を歩いている。
無論、我らが物語の主人公、シャルロットである。
なんで、そんなことしてるの? と、問われると答えは簡単。渡航費の調達の為である。聖女としての力を安売りしていると言われれば安売りしている。大特価99%OFFぐらいになっている。
まあ、べつに本人が良いのだから良いのだろう。
シャルロットは聖女であると共に女神メティアナでもあるので。その女神本人が良いって言ってんだから良いだろうと言う発想である。
もう、シャルロットはやってること無茶苦茶だが。正直、神々の戦争とかを前世で体験してると、婚約破棄とか国外追放されたとか、もう死ぬ程どうでも良いと思ってたりもする。
そして、なに振り構わなくもなっていたりする。
もう、ここまで来ると怖い者無し、有る意味では無敵である。
道行く人に声を掛けては「調子の悪い所は有りませんか? 初回はタダですよ」何て言って、勝手具合の悪い所を治して回っていたりする。最早、外回りの営業みたいなことをしている。
ただし、そんなシャルロットの行為とは正反対に「ひと治し商売」の方は全く上手く行っていない。
何故なら、初回はタダですよキャンペーンの所為で、皆具合が良くなってしまっているからだ。つまりは自業自得だったりする。
もうこの時点でシャルロットに商才無いことは丸わかりである。そして、シャルロット本人は、そんな問題どうでも良いと思ってたりする。
いや、そこはどうでも良くないだろ。と、突っ込みたくもなるがシャルロット本人がどうでも良いので良いのだろう。困ったことに、前世の記憶が甦った所でシャルロットの天然は全く抜けてなかったのだ。
て言うか、初回はタダキャンペーンをやってる癖して、誰が初回の人かも覚えてなかったりしている。もう片っ端から声を掛けているのでもう無茶苦茶である。なんなら二回とか、三回目とかタダで治癒の奇跡を施した相手もいる。けど、それをシャルロットはわかっていない。
天然のお馬鹿ちゃんなのだ。
ただ、その有り様から港町の住人達から「悪い娘ではない」という評価はされており、決して悪い扱いはされてなかった。「この前はありがとねぇ」と青果店のおばちゃんから果物や野菜を貰ったり。漁師のオッサン達からはタコを貰ったりと、細々とではあるが生活は出来ていた。
そんな、日々が過ぎたある日。シャルロットは港町の一回りした後、噴水のほとりで貰った果物をカリカリとリスの様にかじりついていた。
可愛らしく縮こまって果物をかじりつくシャルロット(男)の姿に、多くの者が目を奪われた。それが原因かは定かではないが、青果店の売り上げが10%UPしたりしているのは別のお話。
ただ、こんな和やかな日々が何時までも続く訳もなく。ある日、シャルロットの元に有る客人が現れたのだ。