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第21話 目覚める聖女の力

 身体中を力が駆け巡るのがわかる。


 人を傷付ける力ではなく。

 人を救う優しく暖かい力。


 ふと、我に帰ると目の前のアレックスは今にも息絶えてようとしているのがわかる。


 大丈夫……

 死なせない……


 アレックスの手を強く握り、そこから自らの身体を巡る力をアレックスに向けて流し込んでいく。


 この力がアレックスの傷を治し、彼を救うハズだ。

 見ると、アレックスの傷口がみるみると塞がって行く。


 よし、行ける。このままの調子で力をアレックスへ流し込む。それと共に俺の身体に疲労感と悪寒が襲う。更には身体が鉛の様に重たくなって行くのも感じる。


 恐らく、力を使い過ぎているからなのだろう。

 だけど、そんなの関係ない。


 今の俺が出せるありったけをアレックスに注ぐ。


 その瞬間、目の前が金色の光に包まれた。その光は瞬く間に部屋中を飲み込み、辺り一面を照らし出した。


「こ! この光は一体!?」


 アルベルトが驚愕の声を挙げる。それにともなって一人の男が笑い声を挙げた。


「ははは、素晴らしいぞ、アルエ。聖女としての力を見事覚醒させたな、よくやったぞ!!」


 カーディナル枢機卿の声が耳へと届く。

 

 やがて光は収束した。光の中から姿を表したアレックスを見ると傷口は見事に塞がっており、顔色も良くなっている。

 

 咄嗟にアレックスな胸に手をやり呼吸をしているか確認する。


 生きてる。ちゃんと呼吸をしてる……


 ほっと胸を撫で下ろすと、突然耳元から歓声が聞こえて来た。


 見ると、周りの皆が私を見て笑顔を向けている。先程までアレックスの傷口を押さえていた修道女は私の手を握り半べそをかきながら絶え間無く、何が言葉を口にしている。

 

 ふと、誰かが肩を叩く。

 振り向くと、そこにはアルベルトがいた。彼はこちらを見て頷くと微笑んでみせた。


 そして、何やら言葉を口にする。


 しかし、聞こえない……

 

 ちゃんと聞こうと耳を澄ますが何やら遠くから聞こえる様な違和感があり、上手く聞こえない。良く良く聞いてみると周りの歓声もなにやら遠くに感じる。


 その瞬間、視界がぐるりと回り、凄まじい目眩に襲われた。


 

 ああ、徐々に景色が遠くなる。




 視界が定まらない。



 


 し、視界が…… 真っ白になっていく……





 ま、真っ白に……

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