そんなもん、もののけ姫が好きって事だよ。どう考えたってシシ神がモデルじゃねぇ~か!!小説ってレベルじゃねぇぞ!!
大陸の東に位置する巨大な森。その切れ間に異様に巨大な牡鹿が立っていた。その背中には一人の少女(男)が乗っかっていた。
そうシャルロットである。そして、デッカイ牡鹿はオスローさんである。一人と一匹は衝撃の真実が解明された後に話し合い、当面の目標を定めたのだ。
勿論、最終的な目標は完全復活。そして、中間目標は過去の仲間達に渡していた力の回収。最後に目下の目標は大陸の他の場所に渡る為の手段の確保である。
「あの港町がベール・ウェルです。あそこから大陸の各地に向かう船が出ているやもしれません」
オスローはそう口にするとシャルロットが地面に降りやすい様にと身を屈めた。シャルロットもそれに答えるように地面へと降り立ち港町を真っ直ぐと見詰めた。
「ここまでの案内ありがとうございます。最後に確認ですが、西はサラーン砂漠。北はグランヘッジ火山。南がリナミエ山脈であってるんですよね」
「ええ。そこにシャルロット様の前世の仲間達がいます」
オスローが大きな巨体を揺らして頷いてみせた。それを見たシャルロットは満足そうに頷いた。
そう、先程行った三ヶ所が当面の目的地だ。
「じゃあ、なんとかして、あの港町で連れて行って貰える場所を探してみます」
「ええ、お気をつけ下さい。本当は共に行きたいのですが。私はこの土地を守らなければ行けないので……」
そう、オスローは東の地を守る守護霊獣、いわば守り神だ。この土地を離れる訳には行かない。
この世界は、シャルロットの前世である、女神メティアナにより、人間が勝利し、魔物の生活圏は狭いくなっているが、今も虎視眈々と人間達に牙を剥くタイミングを見計らっている。
そして、神々も人間を滅ぼそうと躍起になっている。
折角確保した領土を手放す事は出来ない。故にオスローはここから離れられないのだ。
そして、それはシャルロットの前世である女神メティアナの采配である。無論、シャルロットも同じように考えだ。
「貴方は貴方の役目を果たして下さい。この土地を頼みますよ、オスローさん。何も出来なくてごめんなさい……」
「いえ、その言葉だけで報われます。このオスロー、全身全霊を持って職務を全うします」
そう言うとシャルロットはオスローと別れ、港町ベール・ウェルへと歩を進めた。
そして、頭の片隅で冷静に考え「妙にスケールのデカい話になったな……」と思ったのだった。