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第11話 その鎧の奥に秘めた想い

 階段を登り終えると強い風がこちらに吹いてきた。


 思わず風から目を背けていると不意に風が止んだ。見るとアルベルトが俺の風上に立って風を遮ってくれているようだ。


 く、くそぉ。まるで王子様じゃねぇか……

 ま、敗けを認めざる負えねぇ……


「す、すいません。ありがとうございます……」

「ここは城壁の上だから風が強い。気を付けてくださいね」


 そう言った彼の身体の向こからは吹き抜ける様な風と突き抜けるような青い空が垣間見える。心無しか空にも少し近付いた気もする。


 本当にどうやらここは城壁の上の様だ……


「どうだい、凄い所だろう。ここは僕のお気に入りの場所なんだ。どうだい、気に入ってくれたかい?」


 そう言うと、アルベルトは風から俺を守りながらも後ろに広がる景色を俺に見せてくれた。


 一瞬、なにそれ口説いてんの? と思ったが、まあ、そう言う無粋なことは取り敢えず置いておいて……


「ええ、とても綺麗な景色です……」


 眼前には思わず溜め息が漏れてしまう程の美しい景色が広がっていた。


 辺り一面が海で囲われており、きらびやかに輝く太陽が一面に広がる海を照らし、海は宝石の様にキラキラと光輝いている。

 ほのかな潮風が頬をやさしく撫でつけ、鼻をくすぐり、潮騒の音色も心地好く耳に届いてくる。


 眼下には町か何かなのか、建物が所狭しと立ち並んでいる。


 海に囲われ限られた土地しかないからか路地は細く入り組んでいる。そこに沢山の人々が往き来している。


 絶海の孤島。

 ぶっちゃけちゃうとほぼモン・サン・ミシェルである。まさに将来の姿は世界遺産である。


「ここの海はいつも海なんですか? 道が出来たりしないんですか?」

「ああ、何時もは海だが月に二度だけ引き潮になる。その時には彼処の陸地に繋がる」


 そう言うと彼は海のはるか向こうにある陸地を指差した。


 成る程、どうしてそうなるのかはわからんが、そこら辺は逆のようだ。確かモン・サン・ミシェルは満月と新月になると潮が満ちるらしいからな。


 まあ、そんなのどうでもいいか……


 その時、背後から鐘の音が響いた。

 

 遥か遠くまでその音を轟かせるであろう透き通る様な美しい音色が辺りに響く。

 俺は海から視線を外すと、今まで背を向けていた教会を初めて真っ向から見定めた。


 石造りの壁は変わらないが高く敷き詰められた石壁達は形を造りに一つの城の様な形を取っている様に見える。


 そう、その形は教会と言うより、城に近い様に見える。


 今、俺が立っている城壁もとても高い所にある様に思える。

 まるで何かからの侵入を防ぐかのように……

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