そろそろ題字で語りたいネタも無くなってきました。まあ、どっかから沸いて出てくるんで別に心配はしてないです。ええ、そうです。つまり、頭が沸いてるんです。
三色毎晩昼寝つきを逃したスノウは不機嫌そうな面構えで、山頂高く聳える峰の淵で足をプラプラしていた。
一点の曇りもない白い頭髪にシックのドレス。そのドレスから伸びる竜の鱗に包まれた尾。痛々しくも切り裂かれた透き通る様だった皮膜に半ばで折れてしまった竜の角。
その様は大きく変わってしまったが。それでも尚、この世の物とは思えない美しさをその身に宿していた。
その身に宿す魂はオッサンなのにである。
彼女の蒼玉の様に透き通る瞳が遠くの国、ラル・フローレンを眺める。そして、一つで小さな溜め息を吐く。
「三色毎晩昼寝つき……」
冷静に考えると、そんなこと一言も言われてない。なのに、スノウは“三色毎晩昼寝つき”と言う言葉が頭を離れないのだ。
本当に誰もそんなこと言葉言ってないのに。
ぶっちゃけ、竜であらば喰うことにも、寝ることにも、生きることにも困らない。ただちょっと面倒臭い。
その面倒臭いを省きたいと思っている。怠け者のスノウには“三食毎晩昼寝つき”は非常に魅力的だったのだ。
これはスノウの中身がオッサンだからではない。
結果、こう言う思考の竜は多い。中には人間達に牛だの豚と言った家畜を貢がせ、自らを神と崇めさせ怠ける竜もいたりする。
多くの竜も、それを「いいな~」と思ったりはするけど。嫌悪の対象である人間と短い期間とは言え。定価的に接しなければならないとなると、多くの竜は「どうしたものかと」普通に頭を抱える。
そう言った手合いの竜は基本的に本能が薄いか、竜としての力量に何かしらの問題があるのだ。
純粋に弱い竜であったり。元々、戦闘に特化していなかったり。余り動ける風体ではないであったり、と理由は様々だか。こう言った生存戦略を取る竜は何かしらの訳有りなのだ。
その点、スノウは変わり者とは言え、バリバリの戦闘特化型の竜だ。竜の中でも上位に位置するカドラクと引き分ける程の強さを持っている。
となると、スノウが人間を生存戦略に利用する利点は無である。
少し便利程度の話である。その代わり、日々を嫌悪する人間と過ごさなければならない。
ぶっちゃけ、本能薄めのスノウにも辛い物がある。
それに、前回話した通り。人間を上手く利用し戦争を起こして遊ぼうと考えている竜もいたりする。竜からしたら、暇潰し程度の話である。
太古の昔の話ではあるが。ある竜が、とある国の守護神となった。その竜はその国でそれはそれは敬われたが。竜からしたら知った事ではない。
そろそろウザいなと思った矢先。その敵国と内通し、自分が敵国側に着くと嘯く。これに敵国は飛び付き戦争を仕掛けた。
そして、いざ戦争が始まれば竜はどちら側にもつかず。ただ戦争を笑いながら眺めるのみだった。
しかも、戦争が終結したらしたで勝った方を滅ぼし、とある国もその敵国もまるごと自分の領域にしてしまうと言う終わってる所業を成し遂げた。
これが恐ろしいことに竜にとっては暇潰し程度の話なのである。人間で例えると、どっちの昆虫が強いかな? あっ! こっちが強い! じゃあ、お疲れ! どっちも標本にして閉まっちゃおうね~! みたいなノリである。
こと人間としての視点も理解出来るスノウからすると、それをやられたら人間は堪った物ではない。まさに、この世の終わりである。
竜が竜が等と言うが、結構人でなしな性格の竜が多いのだ。
正直、この終わってる性格の竜が多い中。完全に武人気質のボルケノはとても稀有な存在だったりする。
ぶっちゃけ、カドラクですら。真っ向から突っ込んでくる辺り性格が良い分類である。
ここまで来ると、スノウに関しては聖女か何かなのである。
「はあ、三食毎晩昼寝付き……」
まあ、そんな聖女モドキは三食毎晩昼寝つきの生活を逃し、深く項垂れているのだが。
そんな事も他所に、スノウの元には厄介な客人が現れるのだった。