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ボツ原稿。ボツ原稿って言っても書いてる時は本気だから消すのは消すで惜しみ無いよね。もう最高だよ、そんな感じ。読めたもんじゃないけど、題字だけでも見て鼻で笑ってやってください。  作者: パンツ男爵F
「メス竜に転生しちゃたのは良いけど、ここまで主人公が強いとどうすれば良いのかわからないの……」「スローライフをすれば良いと思うよ……」因みに私はスローライフ物が嫌いです
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どうでも良いけど、“ほうれい線”と“ゆうれい船”って似てるよね。それがどうしたって言われると、どうもしないけどね。マイア?

 スノウは目が覚めると見知らぬベッドの上で寝ていた。スノウは定まらぬ意識のままに辺りを見ると非常に豪華な部屋にいるのだと感じた。

 バロック調だの、ロココ調と言うのだろうか。その様な仰々しい彫刻だの、模様だのが施された家具があちらこちらに敷き詰められている。


 思わずスノウは目が回る感覚がした。


「あぁ。やってしまった。どうやら、人間の国に落ちてしまったみたいですね」


 スノウはあまり良い展開ではないと思わず頭を抱えた。


 すると、瞬時に先日覚えたばかりの千里眼を開き。周辺地域を確認する。

 山頂高くそびえる、スノウの領地の境界線。その少し外側に位置する国。

 この部屋の様子からもわかるが文明がかなり発達した国の様だ。むろん、大通りでは馬車が行き来し、商人や旅人、子供や老人が盛んに行き交っている。


「ここは確か、ラル・フローレンですね。将来はブランド名になりそうな国名なんで覚えてましたよ……」


 と、しょうもない事を呟くとスノウはベッドから起き上がり。ぼやける目を擦りながら再び部屋を眺めた。

 見ると、ベットの横にある机なんだか、棚なんだか良くわからないスモールキャビネットにガラスで出来たベルと水差しが置いてあるのに気が付いた。


 スノウはそれに近づくと水差しを手に取り鼻を近づけた。すると、僅かに口を尖らした。


「くちゃい……」


 そう言うと、水差しを直ぐに置き。そのまま、ガラスで出来たベルを手に取り鳴らしてみせた。


 すると、スノウの声の様に透き通る心地好い音色が部屋に響いた。


「これは良い音ですね」


 スノウが満足そうに微笑みながらガラスのベルを眺める。すると、そのベルの音色に誘われたかの様に一人の老人が部屋の中に現れた。

 

 慣れた挙動と言うより、洗練された動き。他者に不快感や手際の悪さを感じさせない速さ。それでいて世話しない雰囲気を感じさせない心地の良い挙動。

 一目見ただけで熟練と洗練された執事で有ることをスノウは感じさせられた。


 場所が違えば騎士か殺し屋かと見ま違える程の洗練された動きである。


 老人は一礼すると真っ直ぐとスノウを見詰めた。

 スノウもその瞳をしっかりと見つめ返した。


 真っ白の髪を綺麗に撫で付けた髪。顔に刻まれた歴史を感じさせる深い皺。異常なまでに姿勢の良い様は威圧感すら感じさせられた。

 常人ならば、その威圧感に物怖じの一つもするかとしれないが、ことスノウにその様子はなく。何時もと変わらず、ただ悠然とたたずんでいる。


 暫しの間、両者の間に沈黙が流れる。

 そして、老人がゆっくりと口を開いた。


「お目覚めになっていただいて何よりです。ご気分は如何でしょうか?」

「ええ、問題ありません。介抱していただいてありがとうございます」


 そう言って、スノウが頭を下げようとした矢先。老人は手で勢い良くそれを制した。


「例でしたら、陛下に……」

「なるほど。では、連れて行って貰えますか」


 スノウがそう口にすると、老人は僅かに眉を吊り上げて見せた。しかし、スノウを一度見ると小さく頷いて見せた。そして、老人は仰々しい彫刻が施された扉を開けると口を開いた。


「承知しました。では、こちらに……」


 老人は開かれた扉の奥へと進み。スノウはその後に続いた。


 長い通路に回廊へと進む。何処の窓にも柱にも仰々しい彫刻が施されている。再び通路に戻ると、そこも仰々しい彫刻に包まれた空間だった。足元に目をやると、そこにある絨毯も幾重にも重ね織られた仰々しい模様が施されている。


 スノウはそんなことを考えていると、いつの間にかに一際大きな扉の前にたどり着いていた。

 その前に立ちはだかる様に立った老人が一言呟いた。


「こちらが玉座の間になります。くれぐれも無礼の無いように……」


 そう言うと老人は背後の扉を開いてみせた。


 くれぐれも無礼の無いように…… それは、間違っても世界の頂点に位置する生命体である竜に発する言葉ではない。


 ぶっちゃけ、相手がスノウで無ければ国が滅亡していた所だ。

 更にぶっちゃけちゃうと。介抱して貰ったスノウで無ければ国が滅亡していた所だ。

 スノウも一端の竜。それに竜としての本能として、人間を無茶糞にしてしまいたいと言う衝動が根本に存在する。それは今もスノウの中で暴れ狂っているのだが、スノウはそれを理性で抑え込んでいる。

 今の“くれぐれも無礼の無いように”発言でスノウは少しイキかけたが「いかんいかん、介抱してくれた相手に恩を仇で返す訳にはいかん」と抑えたのだった。


 スノウは理性の全力を持って一国破滅ルートを何とかへし折り、玉座の間へと足を踏み入れた。

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