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ボツ原稿。ボツ原稿って言っても書いてる時は本気だから消すのは消すで惜しみ無いよね。もう最高だよ、そんな感じ。読めたもんじゃないけど、題字だけでも見て鼻で笑ってやってください。  作者: パンツ男爵F
「メス竜に転生しちゃたのは良いけど、ここまで主人公が強いとどうすれば良いのかわからないの……」「スローライフをすれば良いと思うよ……」因みに私はスローライフ物が嫌いです
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個人的にはケツならOh!!yes!!Oh!!yes!!な気がするんだが駄目か?生々しく描写せずにギャグ調にすれば情状酌量の余地を貰えるのだろうか?きっと、貰えるよね?え?駄目?

 満天の星が夜空を埋め尽くす中。一人の少女が山頂の岩場に腰掛けていた。

 足をぷらぷらと揺らすその様は年相応の少女と言って差し支えない。しかし、その姿形は異様と言った物だった。


 頭部からはえた角。腰からはえた翼。シックのドレスから伸びる竜の尻尾。そして、山頂に降り積もる白銀の雪の様な白い髪。


 美しいその様は、さながら絵画の如き景色を形作っていた。

 

 その荘厳な景色をぶち壊すかの様に、一匹の竜がその場に舞い降りた。

 灼熱を彷彿とさせる赤い鱗を纏った巨大な竜。その竜は彼女をそのまま飲み込んでしまいそうな程の大きな口を開くと地響きの様な声をその口から出した。


「スノウよ。先程はすまなかった……」

「本当ですよ。なんで私なんですか? 私には荷が重すぎますよ……」


 スノウはそう言うとわぷらぷらと揺らす足で虚空を蹴りあげて不満を表してみせた。ボルケノはその様子を見て少し笑顔の様な物を作ると、優しげな瞳で彼女の事を見詰めた。


「荷が重いと言える君だからこそ、人間達を任せられるのだ……」

「え?」


 呆気に取られた様な表情を浮かべながらスノウはボルケノを見た。ボルケノは竜の姿のまま、のしのし山頂を揺らしながらスノウの隣へと歩みよった。


「我々、竜はその巨大な力故に他の生物を軽んじる傾向がある。しかし、君は人間の行く末を重いと感じている、思ってくれている。それは我々、既存の竜種には無い特別で稀有な感性だ……」


 これはスノウの前世がオッサンだからである。そらぁ、前世が人間なのに突然人間をむしゃむしゃ食べたりする奴はそうそういない。


 そんな奴がいたら真正のサイコパス野郎である。


 故にスノウは当たり前の事なんだけどな、と重いながらボルケノを見た。すると、ボルケノの紅玉の様な瞳にスノウは自分自身が写し出されていることに気付いた。

 スノウはボルケノの瞳に写った自分を見て「偉い美人さんに転生してもうたな~」と、呑気な事を考えていた。


 それを自分の事を見詰めていると勘違いしたボルケノのが赤面し、紅い身体を一層紅く染め上げた。

 その言葉に出来ない感情に耐えられなくなったのかボルケノは顔を反らし明後日の方向に視線を向け、話を反らした。


「それに君は良く人間の姿を取っている。我々とは違い人間への嫌悪感が薄いのかもしれん……」


 これもスノウの前世がオッサンだからだ。オッサンだったので慣れ親しんだ人間の姿でうろちょろしていただけのだ。竜の姿だと、どうも尻尾とかで周りを破壊してしまうらしい。

 あの電気のコードとかを爪先に引っ掛けてズザァァ!! グシャグシャ!! ってやっちゃうみたいな感じの奴である。アレの凄い版が竜の肉体だと起こるらしい。


 あれって、なんか凄いイライラするよね。

 それがイライラするらしく、スノウはごちゃごちゃする所を移動する時は積極的に人間の姿になっていたりすることがあるのだ。


 でも、それはそれで当たり前じゃないか。自分の縄張りの中くらい綺麗にしときたいだろ? と思ったりするスノウだった。

 

 ただ、この世界の竜は人間を嫌悪する習性が根本的な生態としてある。それは人間の姿となることを強く拒絶する竜がいる程の物だ。

 

 勿論、そんな中で好き好んで人間の姿を取る竜は存在しない。


「関係無いです。ただ、小回りが利くから人間の姿を取ってるだけです。私にも竜として人間を嫌悪する血は確かに流れています」


 スノウは少し悲しげな表情を浮かべながら人間への気持ちを吐露する。前世がオッサンであるが故に人間へと愛着を捨てきれず、竜の習性として人間を嫌悪する生態が備わっているが故に人間を愛し切れずにいる。


 スノウの精神と構造は現在、非常に難しい精神状況になっているのだ。


 その心情を理解したのか、ボルケノは優しげな眼差しでスノウを眺めた。ボルケノにもその心情が理解出来ない物では無いのだ。

 遥か昔に魔王と共に戦った人間達。民を守る為に悪しき竜と戦った人の王。竜の愛した人の姫。


 嫌悪するはずの人間が強く気高く生きる様は幾度となく目の当たりにしてきた。その度にボルケノは人間と言う存在について考えさせられた。

 竜の王であるが故に、竜として永き時を生きてきたが故に、ボルケノは人の尊さが理解出来るのだ。

 

「スノウよ。俺は人間を簡単には滅ぼしてはならんと思う。だが、他の竜達は本能のままに人間を滅ぼそうとしている。笑い草だな、叡智を授かった竜が自らの本能を押さえる事もままならんのだ……」

「どんな生き物もそんな物ですよ。私も心の奥底にある人間への破壊衝動を抑える為に四苦八苦してるんですから……」


 そう言うとスノウは虚空を掴み拳を作ってみせた。まるで自分の力を抑えるのも限界と言わんばかりに。

 しかし、ボルケノにはその姿は誰よりも、どんな竜よりも理性的に見えた。自らの力の巨大さを理解し、自らの力の恐ろしさを深くその心に刻み込んでいる様なその姿。それにボルケノは希望に似た感覚を覚えた。


 現存する竜とは違う何かを……


「スノウよ。俺の目が黒い内は出来うる限りの助力はしよう。しかし、人間に助力することを良しと思わない竜も多い。そんな同胞達から人間を守ってやってくれ」


 そう言うとボルケノは大きな翼を広げ空へと飛びっ立った。そして、あっと言う間にその姿は彼方へと消えた行った。

 その消えて行ったボルケノの姿を眺めながらスノウは「どないすりゃいいんじゃ?」等と思った。

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