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「ここが遺跡になるます。皆さんも覚悟しておいてください。ここから先は戻って来た者のいない未踏の地になるます」


 そう言って、騎士さんが私達を見る。その後ろには何もなく、相も変わらず森の景色が広がっている。


「足元を見てください」


 騎士さんにそう言われて、私達一同は彼の足下を見る。


 目線の先に地面に直接穴が空いており、地中の底へと続くように階段があった。つまり、遺跡は地下にあると言うことだろう。私は一歩前に進み、階段を見下ろす。その先は暗くなっておりどうなっているかは定かではない。


「取り敢えず降りてみますか?」


 そう言って、私が一同を見る。勿論、その為に来たので首を横に振る者はおらず、皆はいちおうに頷く。


「では、前衛は騎士である私に任せてください」


 そう言って、騎士さんが腰にぶら下げていた剣を引き抜き、階段の奥へと降りていった。次は、私かカーターさんが良いだろうな。いや、その前にいちおう聞いておくか。


「カーターさんって、前衛得意ですか?」


 ぶっちゃけ、どちらかと言うと器用貧乏なイメージがあるから、バリバリ前衛が出来る訳じゃなければ私が前衛でカーターさんは後衛が良いと思うのだが……

 私の言葉にカーターさんは肩をすくめながら「どちらかと言うと後衛ですかね」と答えた。恐らく、私の意図を組んでの言葉だろう。


「では、次は私でその次はカーターさん。それに続いてアレクくんにパティさんで行きましょう」


 そう言って、私は地下へと続く階段へと足を踏み入れた。


 中はかなり暗い。その上、一段二段と階段を降りて行く度に視界は暗く狭まって行く。そして、私の視線の先には騎士さんの背中が見える。まだ視野的には問題ないが今の内に対策しておくべきだろう。


 私は人差し指を立て、呪文を唱える。


《見るべくして、見るべき物を見よ。雷の書、第一章。スランの角灯》


 すると。私の指先がひかり、徐々にその光が大きくなり私の頭程の大きさになると私の指から離れ、私の周りをフワフワと周回し始めた。私は続けて一度、二度と同じように呪文を唱えた。


「おお、これは便利、かなり明るくなりましたね」


 騎士さんがそう言いながら、私を見る。

 

 騎士さんが言ったように、私の周りを光の玉が三つほどフヨフヨと周回しているため周りの暗闇は消え、かなり明るくなった。


「これで当分は大丈夫でしょう。もしこれの効果が切れたら次はカーターさんがお願いしますね」


 そう言って、カーターさんを見ると、彼は一度だけ頷いてみせた。私も同じように頷いて返事をする。恐らく、ここからは余り声を発しない方がいいのだろう。カーターさんの真剣な目付きがそう物語る。


 しかし。その矢先、私の緊張を破るよう騎士さんの声が私を呼んだ。


「隊長殿、アレを見てください」


 そう言って、騎士さんが前方を指差しながら私の方へ振り替える。そして、その指の先には扉があった。


 しかも、それはこの世界に非常に不釣り合いな機械の扉だった。

 

 まるで壁を思わせる機械の扉に、その中腹には電子機器の様な物がついており、そこには1~9、そして0の番号が書かれたボタンがある。


 この1~9と言うのが重要なのだが。私にはこれが1~9の数字であることがわかるが、恐らく他の皆には何て書かれているかさっぱりのはずだ。なんせ、ここに書かれてある数字はこの世界の数字とは全く違う物なのだから。


 そして、どうしてそれが私にはわかるのかと言うと、これは私の前世で使われていた数字とまったく同じだったからだ。


 つまり、これは…… なんだ?


 謎は謎を呼ぶばかりである。

 既に頭がパンクしそうだ。


「駄目ですな。開きませんね……」


 そう言って騎士さんが機械の扉を押し、電子機器の数字が書かれたボタンをやたらめったらに押してみせた。いちおう、これがボタンだと言うのはわかるらしい。


 さて、どうするか……

 

 ここで、これを開けることは多分だけど私には出来る。しかし、それはこれが何であるか知ってると言うことでもある。


 それって、怪しくないですか?

 うん、とっても怪しいです。


 まず、この世界の人間なら、この扉を見たら「鉄の扉だ」と言う印象は受けるだろう。しかし、これが機械の扉と言う概念が普通は産まれないはずだ。それを普通に機械と見破って開けてしまったら、明らかに怪しい。


 ……どうするか?


 いや、でもこんな所でグズクズしている場合ではない。下手に成果も挙げずにホワイト・ロックに戻れば術式を行政的に没収されるのは明らかだ。それならば、少しぐらい変な奴扱いされてもこの扉は開けるべきだろう。


 仕方無い、開けるか……


「すいません、騎士さん。少し、私に任せてください」


 そう言って、騎士さんの横を通り過ぎ、私は機械の扉と向かい合った。

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