4話 人間万事塞翁が馬? 血統表あり
ヒメの血統を考えるのと、血統表を作るのに時間が掛かったw
ヨーコは当然ですけど、ファニーウォーも架空の馬です。
ヒメの血統は浪漫に走ってしまいましたw 異論は認めない(キリッ
実際に厩舎の名札に、こんなにも詳しく血統が書いてあるわけないけど、そこは、フィクションということで。
北海道 日高門別町 日高ニワノファーム
ふむふむ…… なるほどねぇ。これが、ワイの血統ということになるのか。
ふーん、ノーザンダンサーの5×5と、ブラッシンググルームの5×5があるのねー。というか、ブラッシンググルームのインブリードって気性難が出やすいんじゃなかったっけ?
まあ、ワイは元人間だから、そこいらの畜生とは本質が違うというところを見せつけてしんぜよう。
それにしても、なんだ? この血統は?
素人のワイが見ただけでも、セリに出したら買い手が付かずに主取になるのが目に見えている、マイナーな血統のオンパレードだぞ?
なんて言えばいいのかな? 中二病を拗らせたウイポ中毒者がロマンに走った、その結果で出来上がった血統とでも言えばいいのか?
まあ、父内国産馬で、クラシック競走を意識した配合という感じはするけど。
でも、ちょっと重たい感じのする古式ゆかしい血統に見えるぞ。
それにしてもよくぞまあ、このご時世にミスターシービーの血が入った、そんな化石にも近い肌馬の系譜が生き残ってたもんだと思うわ。
そのシービーの肌馬に、マックイーンを付ける?
コレで走るのか? いや、走ったのかコレ?
まあ、この配合を考えて実行に移したのがサツキのオヤジで、この牧場の生産馬とは限らないけど。
あー、そっか。時代が違うから、昔はシービーもマックイーンも、一時期にせよ持て囃された時期があったということだな。
マックイーン牝馬なんてステゴとの配合のために、わざわざ乗馬から買い戻して肌馬にした牧場があったぐらいだしね。
んで、そのマックイーンの肌にトップガンを付ける?
時代に逆行した、バリバリのステイヤー血統のような気がするのですけど?
トップガンがデビューしたのと同じ時期に、サンデーの産駒が猛威を振るい始めて、競馬の質が変わり始めたんだよなぁ。
もう既に、スピードと瞬発力がないと勝ち上がれない時代に突入していたぞ?
それなのに、マックイーン×トップガン? 走ったのかコレ?
ま、まあ、その次の、ジャンポケは、ベストではないけどベターな、まずまずの選択のような気がしないでもない。
でも、母ちゃんには申し訳ないけど、ワイが人間だった生前にジャンポケ産駒の牝馬で、デュークオブヨーコなんて馬は、見たことも聞いたこともなんだよなぁ。
まあ、もしかしたらワイが知らないだけで、母ちゃんも中央で走っていたのかも知れないけどね。
ただし、オープン馬や準オープン馬では、断じてないはずである。
重賞とリステッド競走にオープン特別や三勝クラスである1600万下とかで走っていたら、デュークオブヨーコなんてインパクトのある馬名がいれば、きっと覚えているはずだし。
しかし、こうやって血統表を見ていると、意地でもサンデー系の種牡馬は付けないみたいな、そんな執念を感じさせられるよ。
世間では、サンデーとその子供や孫たちが持て囃されているというのにね。あと、キンカメやミスプロの系統も大人気だったな。
まあ、このサンデーとキンカメの系譜の種牡馬を付けないと、馬が売れないから仕方がないと言えば仕方ないのかも知れないけど。
中小零細牧場にとってみれば、セリで一頭が主取になるだけで、打撃を被るもんなぁ。
そら、みんなセリで売れやすい、サンデー系とキンカメ系を付けたがるわけだ。納得したわ。
ワイの個人的な感想を言えば、この血統はロマンに走り過ぎですな。
こんなんだから、サツキのオヤジは借金で首が回らなくなって、牧場を手放さなければいけなくなったような気がするぞ。ほぼ確実に。
というか、庭野環希が牧場を買い取ってくれなければ、ワイって結構ヤバかったんじゃね?
最悪、生まれてこなかったとかもあり得たのか?
まあ、その場合は、神さまが別の馬に生まれ変わらせたのかも知れないけれど。
それはそうと、ワイが生産者やったら、マックイーンの肌にはステゴ一択だったろうなぁ。
それがダメだとしても、次のトップガンの肌の時に、ジャンポケじゃなくてステゴを含むサンデー系か、キンカメ系の配合を選んでいるだろうね。
ワイの種も、ファニーウォーとかいうマイナーな種牡馬よりも、サンデー系やキンカメ系を付ければ良かったのにと思わなくもない。
あと、日高ニワノ牧場には関係ないけど、ワイの種である、ファニーウォーの母系もなかなかにヒドい。褒め言葉だよ?
トップロード牝馬が、よくもまあ、種牡馬になった馬の母になれたよな。
トップロードって早死にしちゃってるし、確かトップロードの産駒って二年か三年しかいなかったはずだよな?
まあ、トップロードからサッカーボーイの系譜は別に文句はないのだけど、トップロードを付けた肌馬の父が、テイオー! たぶん、テイオー牝馬も数は少ないよなぁ。
その前の母父が、ユタカオーってのも渋いよね。
しかし、こうやって眺めてみると、内国産種牡馬というのは母系でしか生き残れないという、過酷な現実を理解させられるよ。
はぁ~、人間万事塞翁が馬と、そう上手くは行かないみたいなのが辛いやね。
非サンデー非ミスプロの種牡馬にとっては、直系が途絶える不幸しかないのだから。
というか、ワイは馬やったから、もう既に塞翁が馬なのか? そうなのか?
それに、ワイは牝馬やから、直系の断絶云々なんて端から関係なかったんや。
てへっ。
「ブルルゥ?(娘よ、どうしたの?)」
いま声を掛けてきたのが、今世でのワイの母ちゃんです。もちろん馬ですよ。
名前は、デュークオブヨーコ。
牧場で仕事をしているみんなは、母ちゃんのこと、ヨーコやヨーコさんとしか呼ばないけどな。
デューク・オブ・ヨークの間違いじゃないです。ヨーコで正解です。
馬名登録時に、片仮名の【ク】を崩して書いて【コ】に間違われた訳ではないはず。たぶん……
今は手書きでの登録はしないはずなので、読み間違いはあり得なさそうだな。
だって、母ちゃんは当然だけれど牝馬なのだから、ヨーコなのだろう。
「ヒーン!(黄昏てただけだよー)」
デューク=公爵家のヨーコさんの子供が俺ってことですね。
神さま、これって洒落が効き過ぎてませんかね?
まあ、三男坊でもなく三番目の娘ですらなくって、八番目の仔みたいだけどね。
「ブルゥ(そう、あなたは変わった仔ね)」
そりゃあねぇ……
人間の記憶を持ったまま馬に生まれ変わったのだから、変わっているのは当然だと思いまっせ。
テイオーもマックイーンもサッカーボーイもシービー直系は全滅っぽいよね。
ユタカオーやトップガンですら、ヤバそうな気がするし…
直系でこれらの系譜を繋げるのは無理がありそうだったので、彼らには牝系で登場してもらいました。
しかし、現実にヒメのようなこんな血統があったとして、走るのか甚だ怪しい…
良くて1000万下か500万下をウロウロしているかも知れないけど、たぶん地方で走っているの気がするなぁ。
でも、非サンデーと非キンカメの肌馬って次世代に繋げるには有利だよね?