19話 るんらったった~♪
サブタイが適当すぎるなw
ヒメ不在だと地の文さんも不在になるという…
前話タイムオーバーの適用に誤りがあったので修正しておきました。
札幌競馬場 滞在厩舎
「うーん…… どうするかねぇ? 中三週で土曜日の芝二千の芙蓉ステークスにするか、日曜の牝馬限定で千六のサフラン賞にするか、それともそれ以降に中四週で、サウジアラビアロイヤルカップに挑戦させるのがいいのか、うーん……」
「テキ、何を悩んでいるのですか?」
「ああ、田中か。いやね、ミストラルプリンセスの次走について、どうしようかと考えていたんだよ。今日の走りを見せつけられてしまうと、ダート路線というのも視野に入れたくなってくるしなぁ」
「それで悩んでいたのでしたか。走らせるのは最低でもマイル以上ですよね?」
「ああ、そのつもりにはしているよ」
「私の個人的な感想を言わせてもらうのであれば、ヒメには最低でも千八か二千は欲しい気もしますね。まあ、ダートでしたら千六でも大丈夫とは思いますけど」
「血統的にはそうなんだろうなぁ。だが、二歳の牝馬で二千の番組なんて牡馬との混合戦しかないからな」
「その二千メートル戦自体、番組が少ないですしね。それで、ヒメを美浦に入厩させる時期はどうなるのです?」
「再来週以降の予定にはしているから、どっちにしても次走までの間隔は空くから問題ないはずだよ」
「再来週以降ですか? もしかしたらヒメにとって、現役生活中は故郷での放牧は最後になるのかも知れないのだから、短い間でも羽を伸ばしてもらいたいですね」
「そうだな。現役中でも放牧に出す時に、戻せるようなら戻してあげたいがな」
「そこらへんは、オーナーである庭野さんの判断とかもありますから、協議が必要でしょうね」
「ああ、そうだ。ワシはこれから明日の新潟記念のために、新潟に飛ばなくてはいけないから、こっちの残りのことは頼んだよ」
「そういえばテキは、ヒメのレースを見るために、わざわざ札幌に滞在していたのでしたね」
「ああ、ヒメのおかげで今日は良い一日になったよ」
「ぶっちぎりのレコードでしたからね」
「るんらったった~♪ いや~、今日はいい一日だなー! ヒメの初勝利と併せて一日で二勝もできたんだから! それに、ヒメはレコードのオマケ付きときたもんだ! るんらったった~の~ひゃっほい♪」
「美雪は、ご機嫌だな」
「美雪ちゃんにとって、一日で二勝は初めての経験だったのでしょう」
「今日の二勝を含めて、これで美雪は28勝か?」
「ええ、28勝ですね」
「あと、3勝でクリアか。どうやら間に合いそうだな」
「今年の12月ですか?」
「まあ、皮算用ではあるけどな」
「あれ? 先生と田中さん二人して、雁首揃えて何やっているんですか? もしかして、出張馬房で逢引きとか?」
「馬鹿こけ、それに天丼は二回までと相場は決まっているんだぞ?」
「わかってますって。ヒメの次走についての相談ですよね?」
「ああ、参考までに聞くけど、ミストラルプリンセスの鞍上である美雪は、ヒメの次走について、どのレースが良いと思う?」
「プラタナス賞かもしくは、JBC2歳優駿に直行でしょうか?」
「ダートか? さては、今日のレコード勝ちで味をしめたな」
「えへへへ、今日のヒメは強かったですよね! 私はヒメに掴まってただ乗っているだけの乗客でしたよ」
「JBC2歳優駿に直行でしたら、ヒメを美浦に入れるのは二度手間になりますね」
「ああそうか、そういえば2歳優駿だけは、門別での開催だったな」
「いくらヒメが丈夫とはいえ、二度の長距離輸送は、二歳牝馬にとって堪えるはずですよ」
「門別競馬場ならば、ヒメの故郷の牧場からは、馬運車で10分か15分程度の距離だったよな?」
「日高ニワノ牧場は門別で競馬場は富川ですので、そのぐらいの時間でしょうか?」
「美浦に入れないで、牧場近くの外厩で乗り込む場合は輸送が楽なのは助かるけど、問題はヒメが一勝クラスだから、除外される可能性があるということだな」
「一勝クラスの馬とはいえ、ヒメには前走でのダート1700の二歳レコード記録もありますし、コスモス賞での二着という実績もあるから、JBCも目玉として選出はしやすいと思いますよ」
「だが、確実に選出されると決まったわけではないのが、ネックなんだよなぁ」
「それでは、プラタナス賞にでも出走させますか?」
「プラタナス賞は10月東京の二週目か。それから、中一週半で北海道は、さすがに馬が可哀想だよなぁ」
「かといって、サフラン賞や芙蓉ステークスを使って、それらに勝ってしまえば、その後も芝路線を走らせたくなりますよね?」
「そうなんだよなぁ。それが悩ましい」
「それでしたら、美雪ちゃんが言ったとおりに、JBCに直行するプランが一番マシに思えてきますね」
「田中さん気が合いますね! 私も地方で空き巣狙いとはいえ、初重賞勝ちのチャンスです」
「美雪は初重賞勝ちが狙えるから、JBCの出走を推したんだな?」
「そりゃあ、私も早く重賞を勝ちたいですよ! でも、それだけではなくて、一着になれば収得賞金も2000万上積み出来ますし、来年のクラシックで除外の心配もなくなります」
「二着だと700万か? 400万と足して1100万か。これだと、年によってはギリギリ賞金が足りない年もあるけど、そこは春までに他のレースで足せば事足りるか」
「このプランだと、ヒメを美浦に連れて行くのを遅らせることができますし、調教も外厩で乗り込めれるので、デビュー前や前走と同じですから問題はありません」
「つまり、二度の長距離輸送を回避できるのと、無駄に一走使わずに、ほぼ確実に賞金を上積みできて、オープンに上がれるということか」
「もしかして、私って冴えてました?」
「ええ、たとえ美雪ちゃんの私利私欲から出た案だったとしても、ヒメにとっても良いローテーションだと思うわよ」
「ふーむ…… 仮にJBCに直行するとしたら、中八週か? いや、七週半ということになるのか?」
「ヒメの成長を促す意味においても、中七週以上間隔が空くというのは魅力的だと思います」
「馬のことを第一に考えると、やはり、門別で開催されるJBCは魅力的ではあるよなぁ。問題は、ダート路線を進ませるということか?」
「そのことに関して、オーナーの庭野さんは何か言ってましたか?」
「いや、過度な無理使いはさせずに、無事に繁殖に戻してくれぐらいで、ヒメの路線に関しては特に聞いてなかったな」
「乗った感触では、ヒメは芝ダート問わないですし、距離もマイルからクラシックディスタンスまでは熟す万能選手という感じがしますよ」
「そのミストラルプリンセスの万能さが逆に、走らせる路線を悩ませているのだから、嬉しいのやら悩ましいのやら複雑な気分にさせられるよ」
「贅沢な悩みということですね」
「ヒメの血統からいって、もしかしたら距離はもっと長くても大丈夫かも知れません」
「勝ち負けはともかく、ヒメの血統と体形的には熟せそうではあるな」
「まあ、牝馬に三千以上の長距離を走らせるのは、さすがに私でも酔狂だとは思いますけど」
「ワシもそうは思うけど、ロマンは感じるよなぁ」
「そういえば、飛行機の時間は大丈夫なんですか?」
「おっと、そうだった。じゃあ行ってくるから、こっちのことは頼んだよ」
「お任せください」
「行ってらっしゃーい」
結局、ヒメの次走が決まってないというw
まあ、たぶんJBC2歳優駿で決定でしょう。
ヨーコさんの父親役であるジャングルポケットが一週間前に亡くなってた…
ジャンポケの思い出はダービーやJCじゃなくて、現地で見ていたトップロードとの馬連一点買いがマンハッタンカフェのせいで、二着三着になった春の天皇賞が一番印象に残っていますw




