表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
The missing storks  作者: まきなる
11/14

塗り絵と黒

 今日も何処かで物語が生まれる。人が作り上げた何かがそこで芽生える。何かを作り出す人々が、次から次へと理由もなく何かを生み出していた。今も昔も何も変わらず、何かを定義して人々は進んだ。つまらないことも、面白いことも、そんなドラマも生まれ落ちてその積み重なりの先に、今私たちは立っている。



 丘から伸びる階段を駆け下り、道路に飛び出して走り続けてきた。真っすぐな道を、自分で作って振り返らないように全力で駆け抜けるんだ。時代遅れのコード付きイヤホンが、走るたびに、飛び跳ねていく度に、私の首に巻き付くように這い回って欲しい。



 ふざけた後悔共よ、私はまだ負けてないぞ。足を止めたければ、諦めやがれ。邪魔なものは全てこのチェーンソーでぶった切って、気に入らないものは全てペンキで塗りつぶしてやる。どこまでも真っ青に、その中で白色の服を着た私が目立ってさ、どこまでも浮かぶ雲のように生きたい。



 連れ立ってやらない。どうせ何もかも贋作だ。ここにいることも、生きていることも、どうせ何かの贋作だ。だったらブロック塀の細い道を走り抜けて、知らない場所へ行くぜ。



 後ろからなるサイレンが心地いい。止めてみたければ、追いついてみな。私がここで何をしようと君たちは止めれない。眠ったままのその頭じゃ何も変わらない。行け。行けよ。行きたいんだと言え!



 水の中に落ちて笑いが止まらない。周りはすでに囲まれて、何もかも終わった?いいや、まだだね。諦めが悪いのは知っているかい?すべて吹き飛ばして、これもなかったことにしていいだろう?



 左手に持ったチェーンソーの振動が私を揺らす。もうこれすらいらない。手を放して、水の中に落とす。歩く私の前にはまだ、誰かの盗作がこちらに拳銃を向けている。ゆっくりこちらに近づいてくるのがもどかしい。



 大きく手を広げ、抱きしめてやった。全てを受け入れるように。相手の熱がこちらにも伝わって燃え始める。熱い、これが熱いなのか。私も降る雨を飲み込もう。どうせつまらないことばかり。



 綺麗ごとで、私は何かを綺麗にできない。汚すだけで精いっぱいだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ