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言いたいことも言えないこんな世の中じゃ

 リビングに行くと、テーブルにはホットケーキが置かれていた。


「え、作ってくれたのか?」

「もちろん、メイドですから」


 帰る時間を考えてギリギリに焼いてくれたそう。一応ちゃんとメイドの業務はしてくれるのかな。


「…よく帰る時間わかったね、俺学校終わってから話したりしてたのに」

「……………メイドの勘です」

「今明らかに間があったよね?本当は?」

「スマホの位置情報を…」

「えっ」


 画面を見てみると普段全く開かないフォルダの一番後ろに謎のアプリが。気づかない俺も俺だけど、まさか細工されていたとは…


「さて、ホットケーキが冷めてしまいます。どうぞ」


「はいいただきます………とはいかないでしょ

 うが!」


 ただこれから何回も質問したけど思いっきり無視されたので大人しく食べたよ!普通に美味しかったよ!



「…で、神崎さんだったね、質問に答えてもらおうか」

「私のことは絵里奈、とお呼びください」


 なんで。メイドだから?細かいことを気にしてるとほんと日が暮れるな…


「…絵里奈」

「はい、賢二様」

「スマホに細工をしたのはなぜ?」

「お嬢様のご命令です」

「知ってた」


 笑みを絶やさない絵里奈。プライバシーって言葉知らないのかな。


「なんで鈴音はうちに寄越したんだ?」

「お世話の為、ですが?」


 首をコテンと傾げる様があざとい。


「家を直したとはいえぶっ壊すような人がそんな親切しないと思うのだけど」

「ふふふ、天河マジックですよ〜」

「お前もか!」


 掴み所のない人ばかりだ…


「もーーー、早く父さん帰ってきてくれー!」

「いいえ?お父様は帰ってきませんよ?」

「え?なんで」

「言ってませんでしたか?社宅に移ったので、この家は賢二様の一人暮らしです。まあ私住み込みますけど」


 急遽男女の二人暮らしが始まってしまった…喜ぶべきなのか?




 それから俺たちは夜になるまで話をし続けた。絵里奈は鈴音のお世話係だったそうだ、本物のメイドだったのかと言うと何故か否定されたが。お世話係とメイドは違うらしい。…格好の違いがあるのだろうということくらいしかわからないが。


 そして本当にうちの家事全般をやってくれるらしい。朝のお弁当も作ってくれるみたいで結構楽しみだ。…でもやっぱ冷静になってみると一つ屋根の下で男女が2人って……緊張する。


 どうしよう、絵里奈の方が年上だからか大人の余裕みたいなのを見せてくるし普通に恥ずかしい。高一の男子にはキツイって…


「あ、私がお背中流しましょうか?」

「い、いい!さっきから調子に乗ってるだろ!」

「はい!ばっちり調子に乗らせていただいてます!」

「初めて聞いたよそんな日本語」




 でもよく見ると、顔は可愛いけど体は結構細くて色気があるかって言われるとアレなんだよなぁ…お背中流されても…


「賢二様、明日のお弁当は土にしようと思うのですが問題ありますか?」

「あああごめんなさい!!!」



 なんで考えてることわかったんだよ…というか土って何。腐葉土なら栄養は…?じゃないんだよ。



「それでは明日のお弁当、楽しみにしててくださいね!」




 …ほんとに土じゃないよね?





――――――――





 迂闊だった。自分がここまで好きな人の前ではダメになると思ってなかった。雨宮くんが視界に入るたびに頭の中は真っ白になって、それでも顔は真っ赤になって。


 それにあの高橋百合という女。当然以前から知っていたし要注意人物としてマークはしていた。だからきっと私のことだから高橋に対して敵意を覚えるのは間違いないと思っていたのに、雨宮くんと一緒にいる彼女を見てそこまで不愉快には思わなかった。


 これは諦め?いや違う。私に限って絶対に。


 心のモヤモヤしたものを取り除くためにも、ちゃんと話さなきゃ。

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