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【プロローグ】キラッキラな学園生活(笑)

初めまして。処女作故に拙い文だと思いますが、温かい目で見ていただけると幸いです。


 ある日の正午、窓側の席になってしまったが故に日に当たった机の端に手を置く。眩しくなるためカーテンは閉めているが、それでも微妙にできる隙間のせいだ。


 あっつ。


 チラッと窓の外を眺めると雲1つない透き通るような水色。輝くような陽射しの中、電線には雀が数羽止まって休憩中。あぁ、なんと穏やかで素晴らしい日だろうか。


 …………白鷺、おい、白鷺!


「あっ、はい!白鷺賢二(しらさぎけんじ)です。えと、本日はお日柄も…」

「何寝ぼけているんだ?そんな挨拶は求めていない。音読、君の番だぞ」


 おっといけない。完全に自分の世界に入ってしまっていた。今は現国の時間中であり、小説の音読を順に当てられている(ようだ)。


 ……しかしこの作業には一体どういう意味があるのだろうか。何か崇高な教育論によるものなのだろうか。そもそも小説を読むなんてこと授業でやる必要性があるのだろうか……などと余計なことを考えていると、


「ねぇ、大丈夫?この列からだよ」


 声の主は隣の席の女子だ。親切にどうも。でもよく考えたら単純に授業が止まってるのが嫌なだけか、そりゃそうか。


「もう、よく見たら白鷺君開いてるページ違うじゃん。ここだよ」


 そう優しく教えてくれる彼女は高橋百合(たかはしゆり)という。亜麻色の腰近くまで伸びた長い髪が特徴で、誰にでも優しく接してくれる、まさに清楚を体現したかのような美少女である。優しすぎて勘違いをする男子が続出して入学当初は告白されまくってたとか……


「…あぁ、ごめん。ありがとな」


 そう答え音読を始める俺。そういえば『走れメ○ス』を読んでいたんだっけ…。流石に題材すら知らないのは我ながらひどいな…


「君は相変わらず棒読みだな…」


 先生の呆れ声。それが嫌なら当てないでほしい。そういうわけにもいかないのだろうけど。


 何か返答するか、愛想笑いでもしてみるか、教科書を盾に様子を伺ってみる。しかし、


「なんだその目つきは?」

「げ」


 怖ぇ…ちなみに先生の名前は東条凛花(とうじょうりんか)。正直親しみやすいといえる性格ではないが、端正な顔立ちにスレンダーなスタイル、なんだかんだで生徒想いで人気がある若手の教師だ。とはいってもその口の悪さはなぁと思わずにはいられないが…


「お前何か失礼なことを考えて…」

「きょ、今日もお綺麗ですね」

「………私の閻魔帳に書いておこう。成績を決めるときに参考にする」


 最近の教師は心が読めるらしい。はっはっはこれは最高評価間違いないですね……自重しろってメッセージだな、うん。



 キーンコーンカーンコーン…………



「じゃあテストまでに復習しておけよ、解散」



 やっとお昼タイム。昼食を取るのだがその前に高橋にさっきのお礼でもしておこうかな、なんか周りにも軽く笑われちゃったし。


「たかはs…」

「誠也くん!お昼ご飯食べよ!」


 右を向いたら高橋もこっちを見ている…のではなく目線は俺の後ろの席。


「ああ、()()、一緒に食べよう」

「うん!」


 この後ろのにっくき男子は雨宮誠也(あめみやせいや)、にっくきとか言っちゃったけど普通に友達だ。容姿、学力、運動神経、全てにおいて中の上くらいのスペックのやつだが性格は良いし何気にみんなからとりあえず頼りにされる印象だ。○ップル製品なの?今後もバージョンアップされてくの?



「そういえば賢二、お前当てられたとき何考えてたんだ?」

「そうだよ、私が教えてあげなかったらもっと怒られてたんじゃない?」


 そう言う誠也と高橋さん。東条先生にならもっと怒られたい!という変態もいるらしいが、ここで「ご褒美だよ」なんてことを言って引かれたくはない。まずそんなこと思ってない。


「まあな、ちょっと進路のこと考えてた」

「「嘘つけ」」

「あ。バレた?」


 結局思ってもないことを言ってしまった。


 そんな中身のない会話をしている間に、俺は少し離れた席に座っているやけにソワソワした様子の少女に目を向けた。……さて、仕事を始めよう。


「おーい!鈴音!」

「…何よ」

「こっち来なよ!飯食おうぜー!」

「アンタとは食べる気無いわよ!…あ、誠也くんがいるんならいいけど」


 彼女は天河鈴音(あまかわすずね)。綺麗で艶やかな赤髪でとある大企業の社長令嬢で、基本的にはツンツンしているがアイドル顔負けのルックスとその背の小ささによりマスコットキャラクターの様な扱いをされることが多い。そして、俺とただならぬ縁があるとかないとか…


「…はーあ、また始まったぞ。」

「壮観だなこりゃ」

「誠也くんほんとモテモテだよねぇ」

「…白鷺なんでいるの」


 周りがザワザワしてきた。教室の視線を全て集めている気がする。そしてそう、俺はこの状況であまりにもミスマッチなのである。否定はしない、したいけど出来ない。悲しいことにこのクラスの2大美女とクラスの人気者についてる小判鮫という構図だ。どこでこんな差がついたんだ…


「…へへっ、じゃあお邪魔虫は退散するぜー」

「あっ、賢二!どこいくんだよ!」

「モテモテの誠也クンには知る必要ないさ〜」

「おい!」


 ……そして高橋さんと鈴音は2人とも誠也に惚れている。だから俺は()()()()が集まればいらなくなる。


 そんな、【主人公の友人ポジション】の俺だが、この生活をしなくちゃいけない理由がある。言い換えると、このポジションでいなくちゃいけない理由である。





 それは、このような言葉から始まった…





「私を、雨宮誠也くんの彼女にしなさい!」

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