コビを売る
【コビはいかがですか?】
コビを売る少女が道端にいる。
コビって一体何なんだろう。
黒い袋に包まれて箱に入っている。
中身は全く見えない。
日用品だろうか。
それとも食べ物だろうか。
気になったので聞いてみることにした。
《コビって何ですか?》
【心を癒してくれるやつだよ!】
それでは全く絞れない。
《もう少しヒントをくれますか?》
【脳にもいいヤツだよ!それでどうすんの?買うの?】
興味は出てきたが買うほどではない。
《ジャンルはどんなジャンルですか?》
【嗜好品に近いようでかなり遠いものかな!】
少女はいくつもヒントをくれる。
でもそれが余計な混乱を生んだ。
《役に立ちますか?》
【これ買えば考え方変わるからさ。買うよね?】
《それは確かな情報ですか?》
【お前さっきから疑いすぎなんだけど!ウザいんですけど】
マッチを擦るように、少女に火を付けてしまったようだ。
少女に暴言を吐かれたり、悪い態度をされたりと、全然気を遣われなかった。
《何がコビだよ。絶対に買うかよ》
そう心の中で呟いた。