幸せの黄色いスープ
階段を駆け上がる音が聞こえてくる。俺の部屋の前でその足音は止まる。その次の瞬間俺の部屋の扉が轟音と共に開く。
「お兄ちゃん!早く起きて!もうすぐ仕込みを始めないとお店の開店時間に間に合わないよ!」
「いつにも増して輝く銀髪!そして愛くるしい背の小ささ!そんな可愛い妹よ!そう慌てるなかれ!もうじき目覚めるからさ!」
「あの……そういうのいいので早く」
また騒がしい一日が始まろうとしている。
朝は寒い。まだ、冬と呼ぶのが正しいと言えるほど気温が低い。こんな朝にはスープを飲んで身体の芯から温めるに限る。
「お兄ちゃん朝ごはんまだー?」
「今から作るから……とりあえずそこのコーン缶取ってくれる?」
「なら、私が主菜作ってくるね。その他に何か必要?」
「ありがとう。……玉ねぎ、牛乳かな」
「はいはい。アレを作るのね」
妹は冷蔵庫から頼んだ物を出してくれた。
鍋に刻んだ玉ねぎと水切りをしたコーンを入れ中の具材が浸かるくらいの水で柔らかくなるまで煮る。
「そう言えばお前次の誕生日で何歳になるんだっけ?」
「ん?えっと……17歳かな」
「そっかー、もうそんな歳か」
何故かちょっとだけ寂しく感じた。
そんな会話をしていると鍋の水気がなくなってきた。
玉ねぎが柔らかくなったらミキサーに中身を移して牛乳、砂糖、塩、コンソメキューブを入れてスイッチを入れる。ある程度液状になったら鍋に戻し温め直す。味見をして塩で味を整えて完成。
白いスープ皿につぎ分けて食卓へと運ぶ。
妹の方も作り終えたようで主菜を乗せた皿を持ってきた。
「さて、食べよっか?」
「もう、のんきなこと言ってないで早く食べなきゃ……店の時間までに終わるかしら」
「「いただきます」」
今日もまた騒がしい一日が始まった。
レシピ手帳
2月23日(金曜日)晴れ
コーンスープ……二人前
材料
コーン……50グラム
玉ねぎ……1/4個
牛乳……150cc
コンソメキューブ……半分
砂糖……小さじ1/2
塩……少々ふ
この度は私の小説を読んでいただきありがとうございます!
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また、他にも7作品投稿していますのでそちらの方も目を通して頂けると嬉しい限りです。