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第六話 スノゥ・フェアリー・プリンセス

最近投稿が遅くなっております。

放棄する予定はないので気長にお待ちください。

 悪い寝覚めとともに、セツナは昨日の朝との落差を感じされられる。

あれほど楽しみにしていた学校では早速問題が起こり目をつけられ、リンドのことも気掛かりなまま必要に迫られ睡眠へと落ちていったセツナは、目が覚めても気分が浮かばなかったのである。

 セツナにとって『リンドがセツナに何も話してくれなかった』という事は、話したくない理由があると考えていた。

だからこそ、セツナは考えていても仕方がない事と知りつつもどういう理由なのか気になってあまり眠れなかったのだ。


 願っても時間は戻らないし、止まらない。

登校時刻になりセツナは準備を整えて家を出る。誰とも会わないまま校舎に着き教室へ向かう途中でフィリックス先生と目があった。


「おはようございます、アカツキ君。」

「おはようございます、先生。」

「そうだ、アカツキ君。今日リンド君見ませんでした?」

「リンドさんですか?今日は見てませんけど…。」

「そうですか。アカツキ君ならなにか知ってるかもと思ったんですが…。ありがとうございます。」

「リンドさんがどうかしたんですか?」

「んーっと、今朝のプロテイマーの集会にリンド君が居なくて連絡もつかないからどうかしてないかなと皆、心配してるんですよ。」


「昨日…。昨日会ったときもリンドさん変だったんですよ。」

「変だった…というと?」

「なんというか薄暗い雰囲気で哀しそうな目をしてました。でも理由を聞いても教えてくれなくて。」

「…なるほど。リンド君の居場所まではわかりませんが大体の状況は察しました。」

「待ってください!僕にも説明をしてください!」

「ごめんなさい、アカツキ君。私には話す権限はないの。時が来れば皆知ることにはなるんだけれど、まだ話せないの。」

「なんでなんですか!?それがリンドさんの為、なんですか?」

「いいえ、違います。話せない理由はリンド君は関係ありません。寧ろリンド君がアカツキ君に話せなかったのはリンド君にも話す権限がなかったからです。」


「でも…いずれ知ることなんですよね?なら今教えてくれてもいいじゃないですか?」

「プライバシーの侵害に相当(あた)る内容だから話せないんです。私でもリンド君でもない別の人のプライバシーの、ね。」

「…そうですか…。それは仕方がない…ですね。じゃあ誰であれば教えてくれるか教えてもらえますか?」

「この話はまた後にしましょう。私も色々やらなくてはいけないので、ごめんなさい。」


 本当に申し訳なさそうにフィリックス先生は去っていった。セツナの発言を受けて報告などしなくてはいけないことがあるのだろうということはセツナにも理解できた。

 セツナもリンドのことを考えながら教室へ着くとノクシャとセシルが話していた。


「おはよう、セツナ君。」

「おはようセシル、ノクシャ。…ノクシャ?その傷どうしたの?」

「ん?あぁ…なんでもねぇよ、ちょっと親父と喧嘩しただけさ。そんなことよりセツナはどうするか決まったのか?ジンは反対してたけど。」

「なんでジン先生が反対してたこと知ってるの?」

「…今朝登校したときにジンと会ったからな。」

「ジン先生は反対したんだね。フィリックス先生はどう言ってたの?」

「フィリックス先生は反対半分尊重半分って感じだった。賛成ではなかったよ。」

「セツナ。この際だからはっきり言っておくが、俺も賛成はしねぇ。勿論、セツナの意見を100%尊重するが賛成は、しねぇ。」

「ノクシャまで急にどうしたの?ジン先生になにか言われた?」

「いや、まぁなんだ。俺は勿体ないなって思っただけだ。他の奴らのことなんて気にするだけ損なんじゃねぇかって。」

「…損とか得とかそんな話じゃないけどね。ありがとう、ノクシャ。考えとくよ。」


 チャイムが鳴り、フィリックス先生が教室に入ってくるのを確認したセツナとセシルは自分の席に着いた。短時間のホームルームを済ませ早速授業へと取り掛かり、フィリックス先生が用意したプリントを皆に配る。


「さて、では授業を始めます。昨日はエリアの説明をしたので今回は本命の、いえ皆さん待望のモンスターの説明をしたいと思います。常識として知っている部分もあるとは思いますが重ねて補足もしていくので覚えておいてもらえたらと思います。」


「モンスターは成長に応じて変態し、より大きく強力になっていきます。その成長の段階に応じて三つに区分されていますがその名称を知っている人はいますか?」


 数人の生徒が手を挙げる。セツナも知ってはいたがわざわざ当てられたくはないが故に手を挙げたりはしない。フィリックス先生が名簿と見合わせて当てる生徒を決めた。


「えっと…それじゃあっと。ルクスラッドさん答えてもらえますか?」

「若い順からデュナミス、エネルゲイア、エンテレケイアです。」

「そうですね。この学校では特にデュナミスとエネルゲイアを二分しデュナミス【Ⅰ】【Ⅱ】、エネルゲイア【Ⅰ】【Ⅱ】としています。皆さんのもつデュナミス【Ⅰ】は私達で言うところの赤ちゃん~園児ぐらいです。この時期は特に成長が早いので数日でデュナミス【Ⅱ】に変態し、早ければ一ヶ月ほどでエネルゲイア【Ⅰ】へと変態する前段階の蛹化(ようか)をします。」


「モンスターには種族というものがあります。その種族によって成長速度や変態する速度が大きく異なります。なので自分のモンスターだけ他の人より変態が遅いからといって焦ることはないということは頭に置いておいてください。

その上で、一つだけ忠告することがあります。蛹化している間モンスターは無防備になります。それはつまり、親やマスターへの信頼がないと蛹化できないということです。」

「どうしたらモンスターに信頼されますか?」

「特別に何かをする必要性はありません。普通にごはんをあげて適度に構ってあげてください。しかし、虐待したり放置すればそれだけでモンスター達は不信感を抱きます。信頼度は数値化や、目視できるものではないので強いてやることを言えば丁寧なケアを心掛けてください。」


「それではモンスターの種族について説明しましょうか。モンスターの種族は全部で7種類あります。

動物によく似た姿をし鋭い爪牙を持つ猛獣族。

植物のような(つる)や根、葉を持つ植獣族。

鉱石や金属のような特色を持つ、無機物族。

魔力を持つ角や魔眼、翼を持つ悪魔族。

硬い鱗に覆われ尖った牙や角が特徴の龍神族。

大気や熱などの抽象的物体そのものでありそれの顕現した姿である精霊族。

そしてそのどれにも当てはまらない不定族。

に分けられています。述べた順が現在確認されている種類の多い順であり個体数の多さもそれに比例します。」


 セツナの猫は猛獣種なのでレアリティは種族しては高くないということである。


「未だモンスターの全容の解明には至っておらず、とてもモンスターのことを私達は理解できているとは言えません。ただしモンスターは昨日ジン先生から皆さんに渡された機械、通称デバイスによって状態や存在を調べることが可能です。」

「未知のモンスターもデバイスで調べられるっていうのはどういうことなんでしょうか?デバイスって図鑑みたいなものではないんですか?」

「いいえ、違います。デバイスは図鑑というよりも…そうですね、医者です。デバイスがモンスターを診て、それをカルテとして資料室に保管するといった感じでしょうか?」


 すごく解りにくい例えであるようにセツナには思えた。要はモンスターそのものにモンスター自身のデータが組み込まれているのでそれを読み取るのがデバイス。そのデータは資料室に勝手に送られるということである。

 ただし不定種を除く。


「なので、資料室に行っていただければそのモンスターの個体ではなくそのモンスターのモンスターとしての在り方が細かく記載されています。暇があったら自分や気になるモンスターのことを調べてみる価値はあるかもしれませんね。ちなみにケセド内のヴクブ・カキシュの検索回数はケセド代表のウィングド・ケルベロスを初めて越えました。」


 ヴクブ・カキシュは今回のチャンピオンシップで優勝したティファレト代表のモンスターである。


「では前回話していた通り私の一番のパートナーをここに出します。先に忠告しておきますが私のパートナーの『つらら』は少し、騒がしいのでそのつもりでいてくださいね。」


 そういってフィリックス先生は台座に一つのフィギュアのようなものを設置した。その瞬間に先生の隣に先生と同じぐらいの背丈の少女が現れた。

 真っ白な肌に白銀の髪。そして灰色の眼をした彼女の唇はとても赤くセツナにはとても魅力的にも思えた。彼女がその口を開くまでは。


「騒がしいってどういう意味よ!レリア!」

「…そのままの意味です、つらら。

えっと『これ』が私のパートナーのスノウ・フェアリーのつららです。」

「これって何よ!もう少し言い方があるでしょ!それにスノウ・フェアリーじゃなくてスノゥ・フェアリー・プリンセスだってば!」


 スノゥ・フェアリー・プリンセス(自称)


「はいはい、お姫様。私に噛みつく前に皆さんに挨拶してくれますか。」

「噛みついてなーい!挨拶なんてしてあげないもんね!」


 呆れたようにフィリックス先生は鞄からもうひとつ別のフィギュアを取り出した。それが何かはよく見えない。


「待って!レリア!大人しくするからそいつを出すのは止めて!」

「…わかれば良いんですよ。雪の精霊のスノウ・フェアリーです。こう見えてもう成長しきっている存在(エンテレケイア)なので残念なことにこれ以上成長しません。」


 不貞腐れた態度でつららがフィリックス先生を睨んでいるが特になにも言い返さない。


「先生の二つ名の『氷華のレリア』ってそのモンスターとのコンビでついた名前ですよね?なんでそんなに仲が悪いんですか?」


 『なぜそんなに仲が悪いのか』という誰も聞けなかったことにセシルが当然のように質問する。そんなセシルの性格は時として痒いところに手が届く便利な性格である。


「うーん…別に仲は悪くないですよ?私達には私達の距離感や接し方があるだけです。つららも半分ふざけてるだけですしね。他にも幾つかモンスターを所持してますが私の一番はあくまでもつららだと思ってるので仲が悪いというつもりはないですね。」

「子供には私達の世界はわからないってことね!」

「…今から皆さんにはこのつららをデバイスでチェックしてもらいます。種族や成長段階あとは属性とかですね。その辺りを確認してもらって自分のモンスターと比べてもらえたらなと思います。」

「えぇーあれあんまり好きじゃないんだけどなー。なんか気持ち悪いんだもん。」


 フィリックス先生は諦めたようで、もうひとつのフィギュアからモンスターを呼び出した。そちらはフィリックス先生よりもかなり大きく橙色の髪をした騎士然とした風体の女性だった。


「げっ…。」

「…。つららが嫌がるので一応代わりとして連れてきたのが『ほむら』です。皆さんの好きな方をチェックしてくれたらいいですよ。両方でも構いません。」


 そのほむらと称された彼女は特に何を言うでもなく無言で頷いた。喋らないのか喋れないのか定かではないが、セツナにとってそれは威圧感ですらあった。しかしそれでもつららと二者択一と言われて皆がほむらの方へと集まりそしてデバイスで調べていく。


「むぅ…なんでこっちに来ないのよー!」

「自覚がないなら言っておきますけど、今までの貴女の行いだと思いますよ、つらら。」

「なら初めからほむらだけ連れてきたらよかったんじゃん!」

「そうしたらそうしたで貴女は拗ねるでしょうに。」


 そんな二人の雑談を聞いていたセツナはほとんど説明されていないが故に存在が気になるほむらの事を差し置いて、つららの方へと向かった。それを見たノクシャとセシルもつららの方に向かうセツナの後ろについてくる。


「いいんですか?アカツキ君。つららじゃなくてもいいんですよ?」

「ねぇねぇ!それってすっっっごく私に失礼じゃないかなぁ!な い か なぁ!!」

「大丈夫ですよ。この子が嫌がらなければ、ですが。」

「…許可を出すのはレリアでしょ。勝手にしたらいいじゃん。」

「僕はつららさんの意見が聞きたいんだけど。」

「…レリアー。助けて。」


 つららが哀願する。セツナには何故、彼女がそうしたのかまったく理解できなかった。何も悪いことをしたつもりはなかったし、寧ろ彼女の為であるとすら思っていた。


「この子はあんまり素直じゃないから、誰にでもわかるようにはっきりと言うことはしないけれど、私が許可を出しても自分が嫌なことは絶対にやらせてはくれませんよ。」

「…その説明の仕方もどうかと思うんだけどなぁ…。」

「助けを求めたのはつららでしょう?」

「それはそうなんだけどさぁ。」


「…えっとつまりはやってもいいってことですね?」

「そう言ってるじゃん!さっさとやりなさいよ!」


 言ってない。

だが、言ったか言ってないかは然したる問題ではないとセツナは判断した。つららから認可が得られればそれでよかった。

 セツナはチェックを済ますと、そそくさとその場を去った。どうせならほむらの方もチェックしておきたがったが、あちらは相変わらずの渋滞で、面倒になって座席についた。


 一部の生徒がセツナを見ていた。セツナはわざわざほむらではなくつららの方へと向かったことで周囲からは『目立ちたがり』という認識をされていた。

目立つことをセツナが望んだわけではない。つららの自業自得であると知りながらも、セツナにはつららが不憫に思えてそうしただけのことであるのだが『他人とは違うことをするのは目立ってしまう』ということをセツナは自覚していなかった。


 他の全員がチェックを済ますのを待った後、授業が再開された。

つららみたいな賑やかなキャラがいると書きやすくてすぐに想定してる文字数に達するんですが、反面ストーリーが全然進まなくなります。


フランシスカ・ルクスラッドはこの先登場するか未定です(多分出す)

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