ラドヴィクス皇国物語
「それはそうと、
おまえもとうとう 結婚したんだってね♡
おめでとう!
出産祝いは 何にする?
それとも、私が 剣のてほどきでも しようかねえ~」
「お師匠様、
私 まだ 結婚してませんし、
子どもなんて 産んでません。
それに
結婚するなら
お兄様が先でしょう?
だって、
いつ また “赤き獣”として 戦うかも しれないのですから」
いつになく まともなことをいう守護者に 驚きを隠せないフィラリエラは
思わず おでこごちんを した。
ー熱は ねえよな。
どうしたんだ、サロ?
なんか 悪いもんでも 拾って食ったのか?
「ッフ、アッハッハッハ!!
全く おまえたちってば 相変わらずなんだね。
光の精霊殿、
過保護ぶりは 変わってないんだね。
この子は 本当に 心根の優しい娘なだけさ。
生まれもわからない自分を 妹として 大切に育ててくれたアイツに
恩を 感じているのさ。
ただ、チョーニブチンでは あるけどね・・・・・」
そう、サロに対する アースファイドの気持ちは、
妹に向けた もの以上のもの。
ただ それに気づいてないのが
想いを向けられている 本人のみという だけの話。
フィラリエラ本人も 本当のことを 告げずにいるのだから、
同類なだけなのだけれど。
ーそれはそうと、
あんたの パートナーは どうしちまったのかい?
あんなに ラブラブだったのに。
「ああ、キリのことかい?
あの子は 世継ぎの護衛騎士にスカウトされて
別の国で 暮らしているのさ。
そういやあ 今度 その世継ぎの若君が お見合いするとか
いってたなあ」
「その相手は、
おまえのことだよ。
サイフェリアローズ」
「「ー!!!!!ー」」
その場の三人が 凍りつく視線の先に
アースファイド本人が 満面の笑みを浮かべて 立っていた。