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ラドヴィクス皇国物語
ようやく 愛娘に出会えたとき、まさに 存在を奪われようとする瞬間だった。
ーまにあった・・・
安堵感で ぎゅっとだきしめたその時の感動は
ずっとずっと 心の中に 残っている。
ゴイン。
足を蹴っ飛ばされ、下の方から 舌っ足らずな 幼い声が きこえてきた。
「しゃろを はなちぇ!!
あきゃいのちちめ!」
ーアキャイノチチ?
それ もしかして 赤いのししのことか?
「しょうともゆう」
見下ろす先に、鼻息荒く ふんぞり返った ガキいっぴき。
ーおまえ、俺が 見えるのか?
もしかして サフィの 血筋のものか?
どことなく 最愛の女性と同じ 光性を 感じた。
俺は 光の精霊だけあって、
命ある者が発する 光の属性ー光性を 感じることができる。
このガキの光性は、赤みがかったオレンジ色。
サフィの光性と よく似ていた。