ラドヴィクス皇国物語
「サイフェリアローズは そこに いるのですね!!
サロ、俺だ!
迎えに来たぞ!
さあ、帰ろう!」
しかし、何も 返答はなく、ラドヴィクスの不安は ますばかりであった。
「っふ、あっはっはっはっは。」
突然 アースファイドは 大声で笑い出し、ますます ラドヴィクスを 不安へと 追い込むばかりであった。
「アースファイド殿、まさか サロは・・・・・」
「ふん、わたしが お前に 最愛の妹を 簡単に 手渡すとでも?
自分の立場さえ 不確かな 愚か者に
我が妹を託すなど あり得るはずが 無かろう?
ましてや、
わが国に ちょっかいを出し続け
建国のヒロインを 演じ続けさせた 苦しみを
簡単に 忘れられるものか!」
「そ、それは・・・・」
「いくら “闇”のせいであったとしても 事情を知らぬ わが国の民は
お前を、お前の国を
許すとでも?」
どんな事情があろうと、すべては 事実。
弁解もできぬまま、最後の言葉が 発せられた。
「サイフェリアローズは、この世界の救世主アニーアングレイシア姫がおられる
エストーリア大公国に 行ったよ。
世継ぎの君の 花嫁として」




