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人間の闇を一身に

連続投稿です!


※4月5日編集

 

  「……ですか⁉︎目を覚まして……さい!」


 ………声が聞こえる。なんだ?もうちょっと寝かしてくれてもいいじゃないかー……アレ?何で俺寝てる

 んだっけ


 起きたばかりで回らない頭の中で状況を思い出そうと頭を捻る……何だっけ?




「………はっ⁉︎……あ、そうか、俺…」


  ぱっ!っと目を覚ますと巫女さんが心配そうに俺を見下ろしていた……WHY?

 ……ああ、思い出した。あの時、スキルの使い方を確認してたら頭が、よくわからなくなってそのまま倒れたんだ。



「申し訳ございませんでした!まさか、お二方が未解明能力持ちとは考えていませんでした。」



  未解明能力?なんだそれ?と、思っていると表情を見て理解出来ていない事を察したらしく、説明してくれた。


  未解明能力とは、能力の中には何かしらの条件があり使用出来ない、使い方を確認出来ない能力がある。そして、その部分を読み取ろうとすると意識が混濁して倒れてしまうと言う話だった。



  それに、先程のお二方と言うのは俺と委員長がその二人で俺より前に倒れたらしく、周りが騒がしかったのはそのせいらしい。今はもう目が覚めている様で安心した。



 ……ともかく周りには心配かけてしまったけど、能力の事はだいたいわかった。読み取った時の記憶を探りながら思い出していく…よし、わかった!



 一つがMPを消費して経験値を自分自身に与える。つまり能力でLevelが上げられるという訳だ。

 危険を犯さずにレベルアップが出来るのは嬉しい。


 二つ目が集中力を爆発的にアップさせる。戦闘中などにも外的要因に惑わされずに、敵のみに集中して戦えるなど汎用性は多分広い。


 多分三つ目が不明な部分と思う。幾つあるのかはわからないが最低でも三つある事はわかった。

 そう、わかったのだが…問題がありすぎる。


 弱い、一言で言うとそれに限る。直接的な戦闘力に繋がらないものしかなくて、おまけに元のステータスも低い。ハッキリと言うと最悪だ。

 これじゃあ、全く役に立てない。


 集中力を上げて敵の攻撃を掻い潜るか?

 いや、どう考えても俺の方が圧倒的に遅いのはわかりきってる。それに攻撃を避けたとしても直接戦闘に関わる能力が一つも無い。つまり、ダメージを与えられないから意味がない



 あまりのハードモードに打ちひしがれるしかなかったが、これだけであればまだマシだっただろう

 弱いだけなら、本当にどれだけ良かったか。だが此処では、この世界と環境では『勇者である俺が弱い事』がどれだけ重い罪であるか僅か数日で思い知ることになった。




  まず、巫女さんーー結局名前は名乗らなかったが俺の能力とステータスについて告げると明らかに苦笑いして、その後俺を避ける様になった。



 帰る手段については『勇者召喚の方法に帰還方法は載っていなかったからわからない』と答えられて

 実質俺たちはこの世界に閉じ込められる事となり

 弱い俺は帰るという最終手段すら無かった

 流石にこれには他の連中も、文句を言っていたが

「魔王なら知っているかも知れない」

 と言われて曲がりなりにもみんな魔王を討伐するしか無くなってしまった



  次に、この世界の使用人、それ以外の人も侮蔑の視線や俺に聞こえる様に陰口を叩く様になった。話が漏れたのだろう「勇者のくせに弱いとか…」 「無駄飯食い」 など勝手に呼んでおいて随分な言い草だった。 俺は別に来たくて来た訳じゃない。



 そして、極め付けは同じ日本から来た元クラスの人達の鮮やかな手のひら返し。

 例の3人組からは、直接的に『肉壁』 『もしもの時の生け贄』と言われたり、触るな、寄らないで、など俺を差別したりして来た。

 委員長はオロオロしているだけで何か出来た訳でも

 無くてひたすらに困り果てていた。

 真面目君はその光景を見るたびに注意していたが日本の法律が基準でズレていた為、全く説得力に欠けていた。寧ろ俺の被害が増えてしまった




 あまりにも理不尽で、でも味方すら居なくて、ただただ苦しみだけが毎日俺を容赦なく攻め立てる。吐きそうで、泣きそうで仕方がなかった。



  この時正直俺の精神はすでにボロボロだったが、戦闘訓練だけはしっかりとこなしていた。


 戦闘訓練は、呼ばれた翌日から行われたもので能力頼りにならずに最低限に武器や体術や立ち回りを徹底的に叩き込まれた。ほぼ一般の人ぐらいしかステータスの無い俺には、耐え切れるものではなかった。


しかし、それでもやり切った。やらなければ本当に何も出来ない木偶の坊になる気がしたからだ



  その頑張りが指導員に評価されて、能力を付与できるアイテム『スキルオーブ』を貰い、能力『身体強化』を手に入れた時は、自室で涙した程俺は追い詰められていた。



 そして、俺がこの世界に降り立って一週間。

 遂にこの不条理な世界の運命を変える劇的な出来事が俺の身に降りかかった



 そこで俺はこの世界の、人間の真理を得ることが出来た、ーーー人間の闇を一身に浴びた、俺が。



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