悪党は余自ら成敗する!
「ふむ、暇だしちょっとめ組に行ってくるわ」
唐突にそう言い出して江戸城から出ようとする吉宗。
しかし、爺こと加納五郎左衛門忠久が其れを諌める。
「なりませぬぞ上様。
だいたい上様ともあろう方が軽々しく……」
と説教をしている間に出ていく吉宗。
「あれ?上様?上様ー?!」
暇だしというのは方便であり、本当は南町奉行・大岡忠相により報告された米の買占めによる米の小売価格高騰に何やら幕臣が加わっているのではないかという報告を受けていた吉宗はその原因を探ろうとしていたのだ。
そういうのは将軍が出しゃばらず目付けや与力同心に任せておけばいいといってはいけない。
そして、偶然人相の悪い男たちに襲われている男を見つけた吉宗はその連中を優れた拳法で叩きのめしうっかり全殺しにしてしまったりもしたが、権力でもみ消せるので全く問題なかった。
しかし、男は深手をおっており命は助からなかった、そしてその頃御庭番はかろうじて逃げ出した男を追いかけてとある幕臣の屋敷を突き止めていた。
・・・
「よいではないか、よいではないか」
「あーれー、おやめになって」
きれいな女性の帯を引っ張ってくるくる回している商人。
「ふふ、もはや次期若年寄の座はこの儂に決まったも同然じゃな」
盃から酒を飲みそううそぶく幕閣。
そこへ障子を突き破って正義と書かれたダンベルが投げ込まれ悪徳商人にぶち当たった。
「ぐええっ」
そのまま動かなくなる悪徳商人。
「その悪事、許すわけにはいかぬな」
ぬっと現れる男。
男の正体に気が付かぬ幕閣。
「何者じゃ貴様!」
バサリともろ肌を脱ぐ新之助こと吉宗。
「愚か者!その方余の筋肉を見忘れたか!!」
そういってぐぐと筋肉を膨張させる吉宗。
「なにぃ、余じゃと?えらそうに……」
そう言って幕閣はじっくりと男の筋肉を眺める。
そして江戸城での将軍謁見シーンが脳裏をかすめて吉宗と気付く。
「まさか……う、上様!!」
幕閣は驚きながら、慌ててひれ伏した。
「その方、御用商人と結託して私腹を肥やし、あまつさえ、
不正を告発した七志権兵衛を
手先を用いて亡き者にするなど言語道断。
その罪、断じて許し難いこの場にて腹を切れ!」
しかし幕閣は顔を上げて立ち上がる
「あいにく此処は我が屋敷。
引かぬ、媚びぬ、顧みぬ!
上様だろうとて殺してしまえば五里霧中。
曲者じゃ! 出合え! 出合え!」
ざざっと侍が、吉宗を取り囲む。
「こ奴、上様の名を騙る不届き者。
斬れ! 斬り捨てい!」
そう指図された侍が一斉に太刀を抜いて吉宗に向って構える。
「ふむ、止むを得ん」
吉宗はコキコキと首ををならし、更にバキバキと拳を鳴らす。
テレッテーという効果音とともに侍たちが斬りかかる。
「ぬぅん」
「ぐわぁ」
吉宗のはなった拳が侍を壁まで吹き飛ばしめり込めせた。
「ほわたぁ!」
「ぐげぇ」
吉宗のはなった蹴りが侍を屋根まで蹴り飛ばした。
「ほわたたたたたたた!」
「へぶ」「あばぁ!」「おごぉ!」
吉宗が袴から取り出した鉄の棒で刀を折られ次々に打ち倒されていく侍。
更に御庭番衆によって吉宗めがけて投げ込まれるガトリングガン。
吉宗はそれを受け取ると固まっていた侍めがけて弾丸を発射した。
「くらえい!」
「ぐわぁ!」「ひぃい!」「たすけてかあちゃーん!」
やがて蜂の巣になって幕閣の部下は全滅した。
「お、おのれー」
幕閣が斬りかかるが吉宗はガトリングガンを投げ捨てて、人差し指と中指でその刀を受け止めバキとおる。
「関口新心流にそのような剣は通じぬ」
そして”よいではないか”されていた女がいつの間にか幕閣の前に現れ懐剣を構えた。
「おとっつあんのかたきー」
そしてずぶと腹にささる懐剣。
腹に刺さる懐剣を見て驚く幕閣。
「な、なんじゃこりゃー」
そう言って幕閣は倒れた。
吉宗はガトリング砲をお庭番に投げ返すと仇討ちを見届けて女に言った。
「うむ見事だ。
仇討本懐、祝着に思うぞ」
「はい、ありがとうございます」
女の瞳には嬉し涙が浮かんでいた、今日もお江戸は日本晴れ、めでたしめでたし。
そこへ響き渡り爺の叫び。
「上様、仕事が溜まっておりますぞ!」