凛誘拐事件発生?
旅行から帰って来た。
ノー勉常習犯の割には宿題はさっさと終わらせる性質の俺はもう宿題は終わっていた。
テレビをぼーっと見ていると。
「わーっ!お兄ちゃん!助けてください!自由研究何やるか決めてないよ!」
うるせぇ。
自由研究のテーマも俺の助言により決め、その後の必要資材の買い出しも俺が手伝う事になった。
……ふざけんじゃねぇ。
「なんかー、最近誰かにつけられてる気がするんだよね……」
スーパーに行く途中、凛がそんな的外れなことを言い出す。
「な訳ねーだろ。お前にストーカーなんかつかねーから安心しろ」
「……まぁまぁ傷つくんですけど。それ」
俺たちはある交差点を通り抜けた。
その交差点の陰から俺たちの様子を伺っている男がいた事に、俺たちは気づかなかった。
「あー、重い。ふざけんなお前」
「う、うぅ、うん」
「どした?様子おかしくね?」
どことなく様子のおかしい凛に声をかける。
「うぅ、う!もう無理!トイレ行ってくる!これ持って先帰ってて!」
「あ、ちょ、おい!……、マジか」
さすがにヤバイわ。
「ふぅ〜。スッキリしました!」
間に合った。
「さて、帰ろう!」
その帰り道。
「?、なんだろ、この声……」
何か声のような音が聞こえた。
「……ニャー……」
「猫だ!」
微かに猫の鳴き声が聞こえた。
凛は耳がいい。普通の人間よりも。
要するに、「人のいいところ+狐のいいところ+妖力=凛」という感じなのだ。
……頭の成長の遅さはこの際置いといて。
「おっかしいな……この辺だと思ったんだけど……」
路地に駆け込み、猫の姿を探すが、見つからない。
「シュルル……」
上から紐が擦れる様な音が聞こえた。
「ん?何か……な……!?」
上から網が落ちて来た。
あまりの事に、反応出来なかった。
「いっ!?何これ!?……でもこれ、簡単に逃げれるんじゃ……?」
私は網から抜け出そうとする。
が、網が身体に絡みついてくる。
あっという間に私は網に絡め取られた。
「え!?何これ!?ちょ!えぇ!?」
あまりの事に私は叫ぶしかなかった。
「……」
目の前には無言で顔をにやつかせる小太りの男がいた。
「ちょ、助けて!お兄ちゃ……!!」
そこまで叫んだところで、口にガムテープを貼られた。
声をあげられなくなったため、必死に身をよじる。
が、男が私を数回殴ったところで。
私は気絶してしまった。