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Pull the Leg!!

今日は、母親も父親も仕事。

「遊ぶか」

「賛成」


「やっべ!イベント今日までじゃねーか!!……凛、ちょっと留守番してろ」

「え!?いやなんで!?」

「コンビニに魔法のカードを買いに行く。すぐに戻ってくるから安心しろ」

「うぅ……」

俺は階段を降り、玄関に向かう。

靴を履いてドアノブに手をかけると……

その逆の手を誰かに掴まれた。

振り返ると、凛だった。

靴まで履いて、外出準備万端である。

「お前もくるのか?」

凛は何も言わず、コクコクと頷いた。

「あれ?でもお前課金しなくてもキャラ揃ってるだろ?なんで来るんだ?」

今回のイベントのキャラを、凛はコンプリートしている。凛の運の良さを、侮ってはいけない。

「……こわいんだよ……」

「へ?」

「1人……こわい……」

今にも泣き出しそうな表情で、凛は静かに言った。

「まぁ、あんな事があった後だしな……。お前人一倍ビビりだしな……」

「な!?ちょ、ビビりとはなんだビビりとは!!」

「お前の事だ」

「否定できないから辛い……」

「いや否定しろよ」

ふざけた事を言い合いながら、俺たちは家を出た。


家を出て、少し歩いていると、凛が俺のポケットに入れている手の袖を軽く引っ張った。

俺がポケットから手を出すと、凛はその手を握った。

何となく凛の気持ちも察し、俺は黙っていることにした。


「さすがに離せ」

「やだ」

コンビニに着いた。

「さすがに恥ずい」

それでも凛は離してなるものかとでも言うかのように俺の手を握りしめる。痛くないけど。

「……ハイハイ、分かったよ」

俺はたまたまいたクラスメイトの白い目に気づかないフリをしながら支払いを済ませ、家に向かった。


「白い目で見られたぞ」

「それがー?」

ムカつく。

1、2の……ポカン!

「痛い!!」

「狐火の使い方忘れたりは?」

「しないよ!!ポ○モンじゃないよ!?」

凛はスマホ片手に手から炎を上げてみせる。

「家に引火するからやめろ」

「しないよ!?」

「あっと爆死」

「聞いてる!?」

「でもまだ30連分残ってるからな……」

「だから聞いてる!?」


コンプ!!

「よし、イベクエ行くか」

「あ、私も行く」

「まずレベルあげようか」

運はいいのに、ゲームのシステムを理解していない。勿体無い。非常に勿体無い。

「もう10回以上は教えてるが」

「え?そうだっけ?」

「もうチュートリアルやり直せ……」

「やり直せないよ?」

「んな事ぁ分かってるよ!!」

バカか。


「何とか勝てた……」

「ヨユーだったじゃん」

足を引っ張り放題だった凛が言う。

「お前が言うか!!」

もう足を引っ張るどころか、相手に加担しているのかと疑いたくなるレベルだった。

「もういいや……あ、母さん来た」

「ヤバ!!」

俺たちは、急いでゲームを片付けた。

「足を引っ張れ」って……

戦犯かよwww

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