近くで。
ガタン!!
「痛ったっ!」
大きい音をたててベッドを転げ落ちたこの男の名前は 間島 誠 35才 ブロックマッシュリバースという分け目の髪型で富士型のアゴヒゲが特徴のオッサンである。
自分のスマホを手探りで掴み、時間を確認すると時刻は平日、午前10:00を過ぎていた。
「もうこんな時間か...。」
ちんたらスマホをいじりながら着替えとうがいを済まし、自炊生活が苦手な彼は近くのコンビニで食事を買うため財布の中身を確認した。
一万二千三百円、食費だけなら2週間近くまではいけそうだ。
ベージュのカーゴパンツを履き、黒のVネックを着た彼はシューズを履いて外出した。
マンション SABANNAH
VをBと表記された誤字った名前のこのマンションは、駅から徒歩八分の場所で一階にコンビニやカフェがあり家賃は5万、入居希望者があとをたたない。
間取りは6畳の洋室、玄関入って目の前にコンロ1つと流し台の小さいキッチン、そのすぐ隣に風呂とトイレと洗面器の3点ユニットバスがあり、11階建ての9階に住んでいる。
一階のコンビニで今日の朝飯兼昼飯のカツ丼とツナマヨ、デザートのエクレア、酎ハイをレジに持って行った。
「お弁当は温めますか?」
と聞かれ。
「あっハイ。」
と右手で爪をいじくりながら答えた。
「そう言えば間島さん、お久しぶりっすね!バイトクビになって依頼最近見ないから心配しましたよ。」
図々しい彼の名前は 吉柳 和真 ここのコンビニの元後輩で、一年くらい共に働いていた男、茶髪のチャラチャラした大学生でややタレ目である、学費を稼ぐために働いているというが、多分嘘だろう。
「うるせぇなぁ、別にいいだろうが!それよりお前就職先は決まってんのか?早く決めねぇと俺みたいになっちまうぞ?」
「安心してください!間島さんを反面教師として心得ていますから!」
「たく、生意気言ってんじゃねぇよクソガキ。」
と他愛ない会話をしていると突然staffroomから高校生くらいのショートボブの女の子が出てきた。
「あっ和真さんおはようございます、楽しそうですね!お知り合いの方ですか?」
「あ!あぁ、この人は俺のバイトの先輩さんでさっ、ここのコンビニ辞めちゃったけど昔は良くしてくれてたんだよね。」
...と和真は分かりやすいぐらい顔を真っ赤にして女の子の質問にあたふたと目をそらして答えた。
「え!そうなんですか!?すいません申し遅れました、仲村 由井って言います、2週間前にこのコンビニでバイトすることになりました!よろしくお願いします。」
「いいよいいよ!そんな改まらなくてもさ、所詮俺は辞めた立場なんだから、もうこのコンビニとは関係無いよ」
「そうですか...すいません、じゃあ和真さん私ゴミ箱溜まってたみたいなんで片付けときますね!間島さんもこれで失礼します。」
と彼女はレジをあとにした。
「おい和真、お前さ、まさか仲村ちゃんに恋しちゃってんの?」
「なに言ってんすか!茶化さんでくださいよー!」
「分かりやすいんだよお前は!顔真っ赤にして仲村ちゃん大好き~って全身からでてるんだよ。」
「そんなんじゃないってば~」
「まぁ、頑張って落とせよ、あんなべっぴんすぐ取られるぞ!」
「分かったから!とっくに弁当温まってますよ!もう早く帰ってくださいよ!」
商品の詰まったレジ袋を強引に渡された。
「ふざけんなよカツ丼冷めてんじゃん!はいやり直し~」
「だめ!」
ふとレジを見ると(ご自由にお取り下さい)の箱に気がついた。
(地域アルバイト情報、池袋)
「あれ?こんなのあったっけ?」
「あ、これですか?新しい店長が前に設置したんです。仲村さんがこのコンビニをバイト先に選んだのもこのパンフを見たからなんですよ。」
「へぇ~、そうなんだ。」
「一応色んなバイトが載ってるんで結構便利っすよ」
「そっか丁度良かった、1枚持ってくわ、じゃあな~」
「う~っす」
家に帰り、再度レンジで温め直したたカツ丼を頬張りながらコンビニで手に入れたパンフを開いた。




