ネコヤナギ
これから旅立つ君のカバンに
一つの枝を差し入れよう
この場所からどこかの場所へ
きっと君が根付くころには
やがては地面に届くように
水が合うように祈りを込めて
花瓶に差されたその枝は
春一杯の窓辺の中で
金色の太陽と
銀色の月を
共に大きく吸い込みながら
少しずつ根を伸ばしていく
最初は水の中でいい
大きくなるまで待ってあげよう
自信が付いてきたのなら
今度は地面の上に出そう
いつの日か
花瓶の支えがなくなっても
一人で大きくなれるように
誰かを守れる日が来るように
これを読んでくれた新生活を迎える方へ。
気負わなくてもいい。
花に見えなくても、花は咲くのだから。
ありがとうございました。