悠兎と幽夜と峡谷
「おい、大丈夫か?」
「悠兎?今何時?」
「昼の13時過ぎだけど」
「俺、寝過ぎちゃったのかな?何か悠兎が大人びて見える」
「そりゃ2年間も植物状態だったんだから成長してるのは当たり前だよ」
「2年....悠兎は20なのか..」
「お前は今16、植物状態になった時が14だから仕方ねぇな」
「俺が寝てる間に時間が進んでたんだ」
「そうだよ?二年間のブランクを埋めなきゃマズイな」
「..そう、だよね、二年も寝てたんだから早足で取り戻さなきゃだよね」
「急ぎすぎて体調崩しても知らんぞ、お前の体はひとつだけなんだ」
「俺の体はひとつ、でも、俺は一人じゃない!!」
「そうさ、お前には俺らが居るから無茶しない程度で頑張れ、分かんない部分はオレに聞け、いつでもフォローしてやるからさ」
「兄さんでも分からない部分は俺が教えてあげるよ」
「貴方は?」
「俺は幽夜、佐藤幽夜、兄さんより2歳年下なんだ」
「実の弟君?」
「そうだね、見た目は似てないけど血の繋がった兄弟だから」
「よろしくね、幽夜」
「こちらこそよろしくね」
「あ、名前行ってなかったね、俺は入埜峡谷、峡谷で良いよ」
「よろしくね、峡谷」