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「伴畑沙月」

男は信用してはいけない。

特に恋愛面においては。



両親の離婚の原因を知ってから、私はそう学んだ。


父の度重なる浮気。

繰り返された話し合い。

精神的な疲労で限界まで来ていた母。

そこに現れる幾度目かの浮気相手。


その人が今までで一番最悪だったらしい。

その人は自分が不倫相手だということを知らなかった。

だが悪びれることなく開き直り、喚き、罵り、嫌がらせをし、母に離婚するよう怒鳴りつけた。


鬱になりかけた母に慰謝料と養育費を渡し、父は母を突き放した。


あのまま生活するよりも良かったかもしれない。

それでも、母をそこまで追い込んだ父を許せなかった。

だから、男は信用してはいけない。特に恋愛面では。

余談だが、父は離婚後、とある夫婦に制裁されたらしい。



離婚したのは、私が小学1年生の頃だったと思う。

はっきり覚えていないのは、両親が私を気遣い、父がフェードアウトするような形をとったから。

少しずつ帰る頻度を減らし、いつの間にか一緒に暮らさなくなっていた。



父は私を大切にしてくれた。

だから、余計に許せなかった。


お父さんとお母さんは、お互いに大好きだから結婚して。

お互いに大好きだから私が産まれて。

大好きな人から産まれたから私を可愛がってて。

だから、お父さんはお母さんを、私と同じくらい大切にしてるんじゃないかと。

私はそう思っていた。

今思えばめちゃくちゃな論理だけど、気持ちはわからないでもない。



小学生のうちに家事を覚えた。

母は仕事しなければいけなかったから。

私が支えなきゃと、料理も洗濯も掃除も1人でこなした。



中学に入ってから、近所の小学生の勉強をみるようになった。

成績はよかったし、小さい子が好きだから楽しかった。

少しだけだけど、近所のおばさんたちから「お駄賃」をもらった。


人生で初めてのお給料。

うちの家庭状況を知る近所の方たちの配慮だった。

「沙月ちゃんは偉いわね。」

何度もそう言われたけど、当たり前のことを当たり前にこなしてるだけだったから何も感じなかった。



高校に入ってからは、コンビニでバイトも始めた。

母も夜勤を増やし、私が大学に行けるように頑張ってくれた。

再婚もせず、苦労を顔に出さず、一生懸命に働く母には、いつも感謝してるし頭が上がらない。

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