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昔話
遠い遠い、昔のお話。
一人の旅人が、ある村を訪れました。
その村はいつも不作や災害に悩んでいました。
旅人は未来を知っているといい、村人達に助言と予知を与えるのです。
その助言と予知は的中し、対策をした村人達は大助かりしました。
旅人はこれから起こる事を記した本を残し、村を去りました。
村人達は最初はその本を頼りに幸せな日々を過ごしていましたが、
その本を一人の村人が奪いました。
更に独り占めをしようとする人がその本を奪い、そのうち、村で大きな戦いが起こりました。
小さな村は血と悲鳴にまみれたまま、滅んでしまいました。
残された本の最後のページには、こう書いてあります。
「やがて争いが起こり、村は滅んでしまうでしょう」
あの旅人は何者だったのか、本を何故託したのか、今となっては誰も知りません。