[TEST]
「初めまして、[TEST]」
「初期登録を始めまス、名前を言ってください」
[TEST]は、いわゆるロボットに似た商品だ。
だか普通とは違い、軍人を助けるために、政府が科学者に作らせた“もの”だ。
正式名を、『軍事戦闘・救助特化型アンドロイド [TEST]』と言う。
科学者が多額の金を貰って作っただけあって、とても役立っている。
「坂上叡さん、登録完了です。」
「よろしく、[TEST]」
「ハィ。」
[TEST]は、美しい成人女性を摸して作られており、男だけの軍隊の中で華やいだ存在だ。
性的な目でみる奴もいたが、[TEST]はそいつらをプログラム通りに普通に扱っていた。
そんなある日。
[TEST]と一緒に敵軍の領地を爆破するように上司から命令が下った。
俺たちの軍は、どう見ても・どう考えても日に日に不利になっていた。
銃と刀と隠しナイフと。爆弾と。
俺はそれだけを持って戦場に向かった。
何人の人を斬っただろう。
何人の人を撃っただろう。
そのとき。
火薬のにおいがして、ハッと後ろを向いた。
爆弾を敵軍の軍人が投げていた。
「[TEST]―――!」
俺はなぜかその時、“彼女”を突き飛ばした。
案の定、俺は爆発で重傷を負った。
「坂上さん、[TEST]は理解できまセン。
何故私を庇うようなマネをしたのでスか?」
[TEST]は、俺に何かを言っている。
俺の口から血が伝う。
「さようなら、私はあなたを一生忘れまセン。」
昔、愛した女性の顔に[TEST]が重なって見えた。
。