表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

プロローグ

殺してやりたい。

そう初めて思ったのは中学2年生の春の季節だった。

僕の母はいわゆる"毒親"と言うやつだった。

毎日浴びせられる罵声。消えない痣。知らない男の人。

そんな母の暴君を止める人はいない。

父は僕が幼稚園辺りの時にどこかへと消えていった。

毎日が辛い。明日なんていらない。

今じゃそんな風に考えない日は無い。

小学生の頃、僕は母をら許してしまっていた。

周りの人間もきっと同じなのだと思っていたから。

これこそが世界の常識なんだと思ってしまっていたから。

しかし中学生にもなるとそれが当たり前じゃないことに気づいた。

自分は虐待を受けているのだと知った。

その頃僕は全てを諦めた。

きっとどうしようもない事だと思ったから。

僕は1度、母に殺されたのだ。

でも今、僕の目は輝いていた。

僕の黒い瞳には夜空に浮かぶ半月が反射していた。

その月は多くの人には半分欠けている寂しい月に見えるのかもしれない。

だけれど僕にはとても美しく、堂々とした月に見えた。

と言ってもその月は直接見えている訳では無い。

目の前に落ちる鉄に反射しているのだ。

その鉄は恐ろしいほど鋭く研がれていて男の硬い筋肉ですら切れるものだ。

そしてそれを拾い上げた僕は母に一言だけ伝える。

「とっととくたばりやがれ愚図が!」

そう言ってそれを母に向けて勢いよく振り下ろした。

血が飛散する。

その時思い出したのは母との幸せな頃の記憶などでは無かった。

脳を駆け巡ったのは自分が母に殴られて血を吐いている様子だった。

「あっ」

そして僕は気を失った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ