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そこが気になるっ!


 ハルモニアはまだ、夜空に消え入りそうな物悲しい音を奏でている。


 いや、牢獄には放り込まれたのだろうが、お前の場合、なにも物悲しそうじゃないからっ!


 むしろ、牢名主たちの身になにかあったのではないかと不安になる!


 牢名主は、牢屋の中を取り仕切ってくれる、あれはあれで大事な存在なのだぞっ。


 というか、他の状況なら、静かにこの音楽と波の音の饗宴に耳を傾けていたい気持ちなのだが。


 今はいつまで弾いておるのだと思ってしまう。


 だが、それを口に出すことはできない。


 ああっ。

 この愛らしい娘を側室妃にしても、話のつづきが聞きたいっ、とジェラルドは思った。


 ……いや、妃にするのはいいのか。


 なかなか好みの娘だし。


 一緒にいて飽きない感じだ。


 正妃は権力をふるったりして、手に負えなくなるが。


 側室妃なら、その問題もない。


 妃の一人くらいはいないと、対外的にも、宰相に対しても悪いか。


 そう考えが揺らいだとき、ハルモニアが、

「あ」

と声を上げた。


 話すのかっ? とジェラルドは身を乗り出す。


「そういえば、大海賊の店主も宝石くれたんですけど。

 大きすぎて、今回、身を飾るのには使えませんでした。


 王様に差し上げます」


 はい、とハルモニアは従者に命じ、透明な石を持ってこさせる。


 あまりに大きいので、ガラス玉かと思ったが、ダイヤモンドだった。


「どうぞ、王様」


 ダイヤモンドが大きすぎて見えなかったが、下に金のリングがついている。


 指輪のようだった。


 もしやっ。

 これは、この指輪を持つ者が大陸の王となると言われる伝説の指輪ではっ。


 もうこの娘、我が物にしておかねば、何処でどんな権力を手に入れてきて、私の上に君臨するかわからぬなっ。


 しかし、とりあえず、この指輪はこの娘がもらったもの。


 大海賊、ゼリウスがこの娘になら相応しいと思って渡したのに、私が勝手にもらうわけにはいかぬ、とジェラルドは無言のまま、結構です、と手を振ってみた。


「そうなのですか?

 まあ、そういえば、これがあれば、王様の妃にならずとも、我が国は助けられますね」


 ……そう言われると、ちょっと寂しくなるではないか。


「でも、私、実は、ここに来てから、王様の正妃にならねばならない諸事情ができてしまいまして」


 ちょっぴり申し訳なさそうにハルモニアは言う。


 側室妃を飛び越して、正妃っ!


 女性としての最高権力者である正妃にならねばならない諸事情ってなんなんだっ?


 というか、お前、ほんとうに私自身には興味ないなっ?


 生まれてこの方、女性にちやほやされ続けてきたジェラルドは衝撃を受ける。




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