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捧げられしハルモニアと無口な王様  ~この国を救うため、私、正妃になりますっ~  作者: 菱沼あゆ
捧げられし王様

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20/41

確かめに行きましょうっ

 


「もしかして、元正妃様の一族の方が力を持っていらっしゃると言うことですか?」


 そう問うたハルモニアに、ジェラルドが、そうだ、と頷く。


「元正妃様ご自身はどうなっていらっしゃるのですか?

 ご存命なのですか?」


 その割にはお見かけしないし、話も聞かないな、と思ったが、ジェラルドはデュモンたちと視線を合わせたあとで、


「……わからない」

と呟いた。


 わからない? とハルモニは訊き返す。


「あるとき、自分の老いていく姿を見せたくないと言って。

 己れの美しかった頃の姿を像に残し、鈴を持って洞穴に入っていってしまったんだ」


 遠い異国の即身仏のようだな、と思いながら、ハルモニアは聞いていた。


「だから、生死についてはよくわからない。

 ちなみにあの元正妃は、私の母ではない」


 ああ、だから王様、跡継ぎを生まないと正妃になれないのかと訊いたとき、微妙な顔をしたのか、

とハルモニアは気がついた。


 しかし、仲悪そうだな、王様と元正妃様……。


「元正妃様が、生きているのか死んでいるのかわからないが。

 私がまだあの一族に見張られているのは確かだ」


 いちいち口を出してくる、とジェラルドは顔をしかめる。


「私があの像を壊そうなどと言い出したあかつきには、なにを言われるやら」


「そうですか。

 ――じゃあ、直接、直談判に行ってみませんか?」


 そう言い出したハルモニアを、みんなが、誰に? と見る。


「生きてらっしゃるのか、そうでないのか。

 元正妃様の一族の方々はご存じなのかもしれないですが。


 教えてはもらえないでしょう。

 だから、確かめに行ってみませんか?」


 その洞穴に、とハルモニアは言ったが、

「危険だぞ」

とデュモンが止める。


「それにそんなことが元正妃の一族に知れれば、反逆の意志があるととらえられるかも」


 ハルモニアは一瞬、考えたあとで、

「ああ、でも、そうだ。

 周りに察知されないよう動ける、地下に潜るのが上手い人たちがいるではないですか」

と言った。


「お前の国のスパイかなにかいるのか?」


「いえいえ。

 我が国にはそんな人的余裕は……。


 牢獄の方々ですよ」

と笑ってハルモニアはデュモンに答える。


「頼みに行ってきましょうか?」

と言うハルモニアに向かい、ジェラルドは、


「どうやって?

 またお前、捕まるつもりか……」

と呟いていた。




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