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第2話 リネン
「しっ失礼しました」
と、なんとも軟弱な声とともに一人の少年が姿を現した。
歳は、14,15に見える、身長はまぁまぁと言うところ、特筆すべきではないが顔は童顔で優しそうな感じだ。
後ろから「ドヨーン」という音が聞こえてきそうなほど落ち込み、下を向いている様は、見ているこちらが悲しくなるほどだった。
そんな彼の名を「リネン」といった。
彼の家は地方の中流家庭の一人息子で、子どものころから「次期勇者になってやる」と、決めていたため「学園」の勇者課に受験し、合格点ぴったりと言う危うさで入学したのだった。
家を出るとき、両親が意を決したように言った一言が今もリネンの脳裏に焼きついている。
それは、「あなたの入学金と学費を払うために2500万ゴールドも借金をしたの」今の価値で、2500万ゴールドは、リネンの家より一回り大きなものを買えるほどだった。
そんなこんなで入学して早1年がたとうとしていた。
彼の評価は一様に「授業態度だけはいい」つまり、彼は授業は真面目に受けるが、もともと頭のいいほうではなかったので成績は下から数えた方が早かった。
そして冒頭に戻る。