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計画性は必要です②

「ジフ、私、ここで就農するわ」

 昨日と同じカフェでおそらく偶然同じ席に案内されたマリーは、ジフの前に地図を広げた。


「ふーん」

 ジフは、マリーが示した地図を見て、フッと笑った。

「なるほど、この地区なら、ここからそう遠くないね」

「こ、ここなら、ラ、ランチはムリでも、ディナーくらいたまに一緒にできるでしょ」

「誰と?」

「ジフとよ」

 迷うことなく答えるマリーに、ジフは少し顔を赤らめながらもため息をついた。


「そんな理由で場所を選んで大丈夫なの?」

 ジフの言葉にマリーは一気にシュンと萎れた。


「ここにするって、借りれる土地とかみつかったの?」

 続くジフの言葉にマリーは無言。


「それに、何を作るか決めたの?」

「まだ…こ、候補はあるのよ…」

 力なくそう答えるマリーの頭をジフは優しく撫でた。


「ごめん、責めたいわけじゃないんだ。ちょっと心配なんだ」

「…うん…」

「場所から決めるのも悪くはないとは思うよ」

「本当?」

 ジフの言葉に少しマリーが顔を上げた。


「この地区って、何が作られているか知ってる?」

 ジフがそう聞くと、マリーはまた別の紙を取り出した。


「へぇ…」

 ジフはその紙を見ながら笑みを浮かべた。

「なんだ、ちゃんと調べているじゃん」

「ふふっ」

 ジフの言葉にマリーは嬉しそうに笑った。


「昨日、あの後、図書館に行ったのよ」

「で、ん?オレンジ、キウイ、ブドウって果物の産地かぁ…」

「ダメ…?」

 ジフが少し渋面となり、マリーはそれを見て不安そうに声を出した。


「えっと…マリーは、この書いてあるリストの中から作ろうと思っているんだよね」

「えぇ。オレンジもキウイもブドウも、どれも好きだわ。どれにするか迷っているところよ。まだ、決めてはないけれど、この中から選ぼうと思っているわ。ただ、どうやって決めたらいいかわからないのよ」


「うーん…」

 ジフはマリーの言葉に眉を顰めた。


「マリー、昨日の今日で調べたのはわかったよ。でも一旦落ち着いて考えようか」

 ジフの言葉にマリーは首を傾げた。


「正直に言っていい?」

 ジフの言葉にマリーは頷いた。


「今からでも頭を下げて辞表を撤回した方が良いと思うよ」

「嫌よ!」

 マリーは思わず立ち上がった。


「落ち着いて」

 ジフはマリーに座るように促した。


「マリーはオレンジやキウイやブドウをどうやって作ったらいいか知っているの?」

「う、植えて、水やって、し、収穫すればいいんでしょ?」

 マリーの答えにジフはがっくりと肩を落とした。


「やっぱり考え直した方がいいよ」

「そんなこと言わないで」


 ジフは時間を確認して立ち上がった。

「もう、俺は行かなきゃ」

 ジフはそう言うと、マリーの両肩に手を置いた。

「マリー、一度頭を冷やして考えてみて」


「また相談にのってくれる?」

 ジフは少し考えた後、1週間後なら、と応えて去っていった。

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