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第26話 姉と弟と育ての親

 シロがまた、人型をとるようになった。馬車の中では私の隣に陣取った。ヴィアンカさんと私が仲良くすると、嫉妬した。


 ヴィアンカさんは、そんなシロの子供っぽい嫉妬を、大人の余裕で受け流した。ヴィアンカさんから、既に結婚して子供がいると聞いて私は驚いた。獣人の年齢がわからない。


「子供達は夫がいるから、問題ないわ。とうに乳離れしているから、母親がずっと付き添っている必要はないもの。やっと見つかった弟を迎えにいくと言ったら、夫も子供達も行ってらっしゃいと、快く送り出してくれたわ」


 ヴィアンカさんの言葉に、御者台にいたリンクスさんが、振り返ったのが見えた。ヴィアンカさんを送り出した夫が、リンクスさんに叱られる未来が目に見えるようだ。


 子供達という言葉に、シロの耳が動いた。

「あなたの甥と姪よ。お兄様達とお姉様達にも子供達がいるわ。みな、あなたに会えるのを楽しみにしているのよ」


 ヴィアンカさんは、シロが覚えていない家族のことを、一人ずつ詳しく教えてくれた。少しずつ、シロの緊張は解れていった。私と離れるのを嫌がるのは同じだ。


 だが、狼の姿で片時も私から離れようとしなかった頃より、少し落ち着いたようだ。私と手を繋いで歩きたがったが、昼となく夜となく、私と離れようとしなかった頃の必死さはなくなった。少し甘えたがるが、もとのシロにもどったようだった。


 獣人の国のことも、ヴィアンカさんは教えてくれた。王族がいて、貴族がいて、平民がいるのは人の国と同じだ。人の国よりも貴族の独立性が高く、各々の領地で領主として暮らす貴族がほとんどだとリンクスさんは言った。


「人の国にも王様はいるよね。魔女、会ったことある?」

シロの言葉に、私は首を振った。

「無いわ。魔女はどこの国にも暮らさないで、旅をするから、王様が誰でも関係ないもの」

魔女が旅を続けるのもそのためだ。


「魔女が旅をするのに、どうして獣人の国では魔女の噂も聞かないのかしら。私達の国にも人族はいるし、人族のいない国はないはずよ」

ヴィアンカさんが首を傾げた。


「獣人は、身体が頑丈で、怪我も病気も少ないから、魔女の技が役立つことはないと、聞いています。仕事がなくては魔女も暮らせません。仕事がない獣人の国で、魔女は旅ができません」

私の言葉に、シロが口を尖らせた。


「魔女は、シロの怪我を治してくれたよ」

「私達獣人も怪我はするし、早くなおったほうが嬉しいから、魔女の仕事はあるはずよ」

ヴィアンカさんが微笑んだ。

「よかったら、私達の国で暮らすことも考えてみてね」

優しいヴィアンカさんの笑顔に心が惹かれた。


 人の国にいても、魔女は余所者だ。多種多様な外見の獣人が暮らす国は、彼らが言う人族でありながら、人間には受け入れられない魔女を受け入れてくれるのだろうか。


「魔女はシロちゃんと一緒!」

人型であるということを忘れたらしく、シロが頬ずりしてきた。家族と再会してシロにとっての本来の群れと暮せば、群れの代替である私への執着も薄れるだろう。


「甘えん坊ねぇ」

ヴィアンカさんは、そんなシロをみて、可笑しそうに笑った。

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