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世間一般では3文字くらいで表現出来るやつです。


****************************************



真新しいカフェの一角、通りに面したテラス席に案内されると、リムリは人気No.1の『本日のスコーン&紅茶セット』をオーダーした。


俺は軽い昼食代わりにプレーンスコーンと紅茶セットをオーダー。


「ここ、最近できたカフェなんだけど、いつも混んでるし、一人では入りにくて学校の友人も誘ったんだけど、なかなか予定合わなくて。」


まわりを見てみると女子が多いようだ。

男女でいるのはほとんど見当たらないな。


「スコーンが人気のお店だけど、この街では何にでも合うスティラのチーズケーキとか、何にでも合うズビンバ紅茶店とかもあるのよ〜」

「……ズビ?」

なんの呪文だ?


「『ズ』ェラ・『ビ』ューティ・イ『ン』・『バ』タフライ紅茶店だから、その頭文字を取って『ズビンバ』紅茶よ」


なんというか…略称……もう少し、なんとかならなかったのだろうか?

この子のセンスの問題か?


「ここは商人の街だから、新しくて面白いものがたくさん集まるのよ。」


「あれ?リムリじゃない?」

そこに通りを歩いていたリムリと同じ制服を着た茶髪と黒髪の二人の女子が声をかけてきた。


「ナナ!ミリー!どうしたの?」

「ん、あたしたちはお買い物~。珍しいわね、…あら?そのひと誰?紹介してよー」

「あ、あはは!この人はエリー(仮)さんよ」

「エリー(仮)だ。はじめまして」

ぺこりと会釈すると、女子二人は

「はじめましてーナナでーす」

と明るく返事をしたのは茶髪で、

「ミリーです」

と黒髪は静かめに返事をした。


「ふたりは学友のナナとミリーよ」


「珍しいわね、あんたが外で兵士と一緒じゃないのって。……久しぶり?」

「そーねー」

へらへらと笑うリムリ。


「兵士?」

「そうよー。あなたは旅のひと?リムリはこの国の第3王女だからさー……」



ぶっっ!!!



紅茶を吹き出してしまった。


ケホケホっ!


「え、知らなかったのォ?ごめーん!せっかくのオフタイム邪魔しちゃったねー」

「じゃあ、また明日…」


とそそくさと二人は立ち去ってしまった。

ちょっと待てどこへ行く?

むせてそれどころではないが。


「あ、あんた、この国の姫さんだったのか?!…けふっ…」


「そうよ?意外?」


「そりゃ、姫さんが一人でほっつき歩いてたら……!」


「危険だって?それなら大丈夫よ。街の外に出ることなんてないし、この辺でなーんでも揃うから」


本人曰く、格好も普段から制服が多く、地味なほうなんだとか。


街のなかに危険が潜むってこともあるじゃないか……と言いそうになって、やめた。

まさに、自分がやらかしたところだから。


リムリにぶつかっただけでなく、昨夜、ターゲットを追い回す際に、一部地区の塀をいくつか壊したところだった。

依頼人からは「気にしなくていい」と言われていたが、ちょっぴりやりすぎた感もあった。


(なるほど…するってーと、この塀は危険から王族を守る役割もあったのか……てっきりそーゆーコンセプトの観光街なのかと……)

「……」


こめかみを抑えるエリー(仮)を心配して、リムリは声をかけた。

「どしたの?大丈夫?なにか悩み事??」


「いや、少しな…うん。何でもない。」


「そ、なら良かった。そろそろお店出て次の買い物に付き合ってくんない?」

「ああ、そうだな」




***********************



「そういえば貴方のお仕事ってどんなことしてるの?運び屋さん?」


「運び…?まあそういうのもするが、護衛とか、人探しとか……まあ、何でも屋ってところだな」

街中だけじゃなくて、森とか山奥とかいろいろなトコロに行くこともある。


「ふうん。大変そうなお仕事してるのねー」

「まあな」

適当に相槌を打ちながら、ふと違和感を覚えた。


…付けられている…?

……昨日の残党か……?


「でも、外にでて、何でも出来るのって、ちょっぴり憧れちゃうな―。」

「そうか?怪我や人に恨まれるような事も多いから、あんたみたいな女の子に進められる仕事ではないぞ?」

「えーそれはやだなー」


「例えばそこの物陰に隠れているヤツなんてな…」

と後ろ指を指す。


「えっ?」

と彼女が後ろを振り向くと、向こうもこちらに気付いたのか、姿をあらわした。


物陰に隠れていたソイツは一般的な兵士の恰好をしており、友好的な笑みを浮かべながら近づいてくる。

なんかイヤな笑顔だな。


「ばれちゃいましたか。お帰りが遅いようなので、お迎えにあがりました。ささっ、姫様こちらへ…」

「あら、いけない。もうそんな時間なのね。じゃあエリー(仮)さん、私はこれで失礼するわね」

「待て」

駆けだそうとするリムリに制止の声をかける。


「え?」

リムリの前に出ると、ひと息に距離を詰め、兵士の右手をひねり上げる。

「ぐっ!?な、何をする……!!」

「貴様、その剥き出しのナイフは誰に向けるつもりだったんだ?」

「!!?」

「…ち!ばれたか!オイ!お前ら!!」


偽兵士は叫んで、誰かを呼んだ。


…………


………………


「誰も来ないな」


「アレ?そんなはずは……」

狼狽える偽兵士を他所に、何やら集団が出てきた。


「お仲間さんなら来ませんよ〜」

軽い口調で縄を持って近づいてきた兵士が、捕まえていた偽者を手際よく縛っていく。


「近衛兵のジョルジュ……?居たんだ……」

ぽつりとつぶやくリムリに青ざめたのは偽兵士。

「えぇー…あの俊敏さで有名な《青トカゲ》が居るなんて聞いてねぇよォ…」


「はい、姫様。このジョルジュ・ヘイ、隊長の名のもと、密かに護衛任務に付いてました!」

とリムリに微笑む。


ぞろぞろと道の影から出てきたのは、同じような兵士姿の男たち数人。

こちらの方が銀の装飾が豪華な鎧を纏っている。


「姫サマー!無事ですかーー??」

「げ、ヴリアン!バレてたのね……」

その中の1人、装飾がひときわ豪華で、体格のいい青年ーヴリアンと呼ばれた青髪の男ーが鎧をガチャガチャ鳴らせながら、リムリの側まで走ってきた。


「姫サマがどこの船とも分からない不審者と歩いてるって聞いて、気がきじゃありませんでしたので、尾行…監視……いえ、遠巻きに護衛しておりました!」


「えっ?全部知ってたの?」


ならなぜ最初にぶつかった時に出てこなかったのだろうか?……まぁ言ったらこちらの都合が悪くなりそうなので、気にしないでおこう。

「報告を受けてのものだったため、ワタクシは途中からですが」


「そうだったのね。」


そこまで言うとこちらに向き直り、


「それはそうと、ご苦労であったな、旅の者よ」

コイツらの中で俺は旅人になってるのか。

まぁ、似たようなものだし、いっか。

「本来であれば、護衛分の謝礼を出るところなのだが…………数々の姫様への無礼を見逃す変わりで了承していただきたいのだが」


おっと。

見逃してくれるなら有難いことだ。

「それは……助かる」

ぺろっと舌を出した。


彼女を隊長さんとやらに託し、帰宅することにした。


「今日は色々と付き合ってくれてありがとう。」

「こちらこそ」



少し残念そうにするリムリ?

「また来ることある?」


「依頼があればいつでも。」

そう言って名刺を渡した。


「ありがとう。何かあったらお手紙書くね。それじゃ、またどこかで」

「あぁ、またな。」



こうして塀の中の商業街の仕事を終えた。





ありがとうございます。

次のはおまけみたいな話です

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