平凡
初めての投稿作品です。楽しんで読んでいってください。
エピローグ
「あ゛〜つまんねぇ。いっそ死にてぇ。」
「ワタシが手伝ってあげる!」
「え?」…………
第1話
一時間半前 屋上にて
「好きだ。付き合ってくれ。」
「ゴメンナサイ。」
「っ…」
フラレた。言うまでもない。あんなに食い気味で断る必要なんてあったのか?俺の何が駄目だったんだ?もう何も分からない。
「なんだ?この物語展開フラグ的な…」
フラグ的な何なのか。ショックで言葉も出てこない。スマホが鳴る。友からのメールだ。
「どうだ?フラレた?」
…今それ聞く?まぁ向こうは何も知らない。
「うるせぇ」とだけ返信。スマホをしまって歩き出す。
俺の名前は佐藤翔。どこにでもいそうな高校3年生だ。勉強に秀でているわけでもない。かといいスポーツ万能でもない。何事にも中途半端。「超平凡」。それがあだ名になるくらいの平均人だ。まぁそのあだ名気に入ってるからいいが…
キーンコーンカーンコーン。チャイムが鳴る。やべぇ、告白したの3限と4限の間だった!!!………
無事に4限、給食が終わり昼休みになる。俺は再び屋上に行く。いつもは賑わっている屋上も今日は人1人いない。
俺の定位置である1番端を誰もいない屋上でも独占し、空を見上げため息をつく。
「はぁ~~。すべてうまくいくつもりでいたんだけどな〜。」
嘆いても何が出てくるわけじゃない。もう何もかもが嫌だ。
「あ゛〜つまんねぇ。いっそ死にてぇ。」
本音を大声で言うのは気持ちがいい。
「ワタシが手伝ってあげる!」
ドン!!
誰かに強く背中を押され、屋上のフェンスを超える。「え?」
女の声が聞こえたと思ったら、屋上から落下しているなんて。嫌だ!まだ死にたくない!せめて平均を抜けるまでは………………
「…ふンガっ」
急に目が覚めた。夢だったのか?いや、床が冷たい。布団じゃなさそうだ。
「ここはどこだ?」
誰もいるはずのない空間に問いかけた。
「フォッフォッフォッフォッ。」
上から声?声をする方を見ると、そこにはおじいさんがいた。
「おじいさーん。そこ危ないですよ?ていうかなんで宙に浮いてるんですか?」
「大丈夫じゃよ。だってワシ神様じゃから。」
ほぉ~…とうとうボケたか。そういうお年頃なんね…
「ワシは人間と同じ目線で話を進めるでない。」
???心が読めるのか???
「そうじゃよ。そんなことより、オヌシ何故此処にいるのじゃ?」
「知らねぇよ!コッチが聞きてぇよ!」
どこまでもツッコミたくなる。もしかして、元伝説の芸人?
「まだ信じておらんのか。まぁ良い。どうやらオヌシ、死んだらしいぞ?」
らしいってなんだよ、らしいって。おじいさんは無視して話を続ける。
「死んだ人間は、あの世に逝くか、転生するかの二択なんじゃ。ここは転生する人間が来る空間じゃ。オヌシ死ぬ前にまだ行きたいと思ったのだな?」
「そう…ですが?」
死にたいと思って、いざ死ぬときになったらまだ死にたくないと思ったヘタレですが?これ以上傷つけないでください。
「オヌシが勝手に傷ついたのだろう。さて、転生前に願いを叶えてやろう。」
ピクッ。願いを叶えてくれる?負い、マジかよ!転生と言ったら異世界。異世界と言ったら魔法だろ!!!よっし、俺の願いはこうだ!!!
「人間に転生したい。」
「うむ。」
「誰もが魔法を使える異世界に転生したい!」
「うむ。」
「そして…チートスキルが欲しい!!!」
「ムリ。」
「は?……じ、じゃあバグステータスとかは…」
「ムリじゃ。」
「え?はぁ?えぇ!?なんでだよ!異世界転生するのにチートもバグもできないの?マンガの主人公は転生したら皆チートやバグだぞ!?」
「それが原因なんじゃ。」
「は?」
「ほら、そういうマンガが流行ったせいで人々は死んで最強になれる。と勘違いしたのじゃ。勿論そのうち多数が転生することになり、その際願いも叶えてなきゃならんから当然スキルも渡さんといかん。すると…」
「すると?」
「向こうの世界が最強だらけになってしまったんじゃ。最近、数は減ってきているもののそういうことが二度と起きないようにチートもバグも渡せんのじゃ。」
「んなっ!理不尽ダロ!!もう平凡は嫌なんだ!せめてチートじゃなくてもスキルをくれ!」
「んん〜…では創作、付与、鑑定の3つをやろう。それがあれ最低限大丈夫じゃろ。」
「なんだよ!その初心者応援セットみたいなのは!」「つべこべ言うな。あとは困らんようにありったけの金をやろう。もうこれ以上は駄目じゃ。ではいい人生を!」
「ちょっ!待て!また平凡かよ!!」
「むにゃ〜…ふンガっ!」
再び目覚めた。町の中心。人がいる。どうやらしっかり転生させられたらしい。
よし。さっきまでの最悪な展開は忘れよう。大切なのは気持ちの切り替えだ。
「うん。まずは町の人たちの魔力を見てみよう…スキルは、、、こう使うのか。」
成程。対象を設定するんだな。そういえばスキルの使い方教えてもらってなかったな。
「よし!"鑑定"!ふむむ…あの人は200。アイツは300。あの方は500!平均して300程度だな。」
まだこの世界の基準がわからないがとりあえず高いと見ておこう。
「まぁ一応?俺転生者だし?この町の誰よりも強いと思うがな!」
早速、鑑定で対象を自分にした。
「どれどれ。う〜ん、、、50!?ウソだろ?クッソあのジジイ。これじゃ平凡じゃなくて平均未満じゃねえか!」
マジで許さん。覚えてろ。
「これじゃ「マホウ」の「あ」の字もまだまだじゃねぇか!!!」
「…「魔法」に「あ」はありませんよ?」
女性の声だって!?
2話につづく。